12021■■□ファール・プレイ('78米)
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2011/11/11
- メディア: DVD
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出演:ゴールディ・ホーン、チェヴィー・チェイス、ダドリー・ムーア
今では忘れられてるけど、70's半ばまでコメディーはコメディー、アクションはアクション、サスペンスはサスペンスだった。つまり笑えるサスペンスなんて存在しなかったのだ。そういう意味でもこれは画期的な1本。「少年は虹をわたる・ハロルドとモード」の脚本を書いたコリン・ヒギンズの監督デビュー作で、ヒッチコックへのオマージュを捧げたもの。とはいってもブライアン・デ・パルマのような真摯なスタイルではなく、その部分は真面目にやり、後の部分で笑わせる。ゴールディー・ホーンという人は一歩間違えるとただうるさいだけのような役柄が多いけど、ここでのグロリア(役名)は、イノセントなキュートな役柄でチェイスとのラヴ・ロマンスがまずあって、ムーア(「ミスター・アーサー」などコメディー作は多いけど本気で笑ったのはこれのみ)のいささか下ネタっぽい笑い(登場のシーンでは"Stayin' Alive"がかかり、自宅がラブホorアダルトショップ風となっている)、dowarf*1にからむギャグ(ここでゴールディーはイーグルスの「On The Border」のTシャツを着ている)などがあり、「知りすぎた男」などのヒッチコック・サスペンスのパロディー(「ダイアルMを廻せ」の鋏も)でしめるという構成(また結局なんだかよくわからなかったフィルムはヒッチコック作品でいうところのマクガフィンでしょう)。更に珍妙な日本人旅行客(やってるのは中国人だけど)は、「おかしなおかしな大追跡」へのオマージュ(コジャック、バンバン!)と奇妙なオリエンタリズムなオペラ「MIKADO」、サン・フランシスコの坂を使ったカー・シーン(もろ「ブリット」風)もある。きっかけとなったフィルム(タバコの中に入った)は結局のところ話を転がすだけの小道具(ヒッチコックはマクガフィンと呼んだ)だったり、映画館で隣に死体など、かなり細かい映画愛に満ちている(だからどっかで見た事あるようなシーンばかりという評は当たっている)。主題歌はバリー・マニロウで、劇伴を含めちょっとミスマッチ。あと15分削れば引き締まったのに…
他にはブライアン・デヒニー、レイチェル・ロバーツ、バージェス・メレディス、マーク・ローレンス(アルビノ系の殺し屋)ら。
*1:かつては「こびと」と訳せなかったので「ちっぽけ」という字幕になっていたはず、今回DVD化にあたって「こびと」にもどった