12033■■ラ・スクムーン('73仏)

監督:ジョゼ・ジョバンニ
出演:ジャン・ポール・ベルモンドクラウディア・カルディナーレ、ミシェル・コンスタンタン

投獄経験もあるジョゼ・ジョバンニが、自作の「勝負をつけろ」('61、ジャン・ベッケル監督)を同じJPB主演でリメイクしたのが本作。フランソワ・ドーベ(François De Roubaix)
の印象的な音楽も魅力。非常に男くさいフィルム・ノワールでフランスでしか生まれえなかったもの。地雷の信管はずしというのが珍しい。

暗黒街育ちのジョヴァンニ(監督)が自身の獄中生活で知った男をモデルに書いた小説を映画化した。それだけにリアルだった。戦前のマルセイユで、死神(ラ・スクムーン)と恐れられた名うてのギャングにジャンポール・ベルモンドが扮した。

ベルモンド扮するギャングが、ボスの罠にはまり無実の罪で投獄された親友で恋人ファンファンの兄を救うため、復讐の殺人を犯して、自ら入獄し、友と共に脱出を図ろうと綿密な計画を練って、実行に移すが・・・。

時は、対独戦の真っ只中。
親ナチ、レジスタンス入り乱れる獄中で武器の調達も不可能ではない。
倉庫番となった彼らは拳銃をバラして持ち込もうとするが、取り引き相手のやみ商人が
ナチに逮捕されたため失敗。

今度は、浜辺の不発弾処理に従事して、その隙に逃げようと企むが、ムキになって危険を犯した友は爆風で片腕が不具になってしまう。

時がすぎ、戦後釈放された二人は町に戻るが、既に彼らのような昔気質は歓迎されなかった。
友と恋人のため荒っぽい手口でナイトクラブ経営の権利を巻きあげた“死神”だったが、
仕返しに友は殺され、恋人は瀕死の重傷を負う。

“死神”は仲間の制止も聞かず、一人殴り込みに行く・・・。手回しオルゴールの音に始まった映画は、やはりその響きの中、路地の階段を上っていく男の後ろ姿で終わる。