たっぷりと時間を取ってレコーディングされた「Red Rose Speedway」は73年5月にリリースされました。名義はウィングスからポール・マッカートニー&ウィングスへ(日本盤は前からそうでしたが)。ヒット曲が”My Love”しかないんで、地味な印象の1枚でしたが、よく聞くとこれは結構濃厚な世界です。同時期の録音でシングルとして出たのが、12月の"Hi Hi Hi"ですが、アルバム直前の3月に”My Love”がリリース。アルバムでは”Big Barn Bed”のエンディングから流れるように入るいいタイミングでした。見事に#1になったバラードで日本ではCMに使われたりして、広い層に人気がありました。

 
全然関係ないですがヘンリー・マックロウ、心臓発作で危篤というニュースが昨夜はいってきました。頑張ってほしいです。
http://thecelebritycafe.com/feature/2012/11/henry-mccullough-guitarist-paul-mccartney-and-joe-cocker-critically-ill-after-heart-

”My Love”のB面は72年のライヴで未発表曲”The Mess”です。結局アルバムには入りませんでしたが、B面にしておくのは惜しい曲です。エネルギッシュなロックンロール。

73年5月に出た「Red Rose Speedway」は”Big Barn Bed”で始まります。元々は”Ram On”のエンディングを発展させたものらしいです。メンバーによる重厚なコーラスが重ねられたオープニングにピッタリのナンバーです。「James Paul McCartney」というTVショーではメンバー紹介も兼ねられてて、コメントが面白い。”Get On The Right Thing”は「Ram」のアウトテイクでgはデイヴィッド・スピノザが弾いてます。ややヴォードヴィル調の”One More Kiss”(リンダのコーラスが楽しい)に続いて、”Little Lamb Dragonfly”でA面は終わり。この曲も「Ram」のアウトテイクに手を加えたもので,gはヒュー・マクラッケン。ポールの農場で死んでしまった羊について歌ったものとか。地味ですが好きな曲です。

「Red Rose〜」はA面に比べるとB面はあまり聞きません。”Single Pigeon”や”When The Night”のような哀愁タイプの曲はあまり好きじゃないということもありますね。インストの”Loup”もなんだかよくわからない。ただし4曲メドレーは「Abbey Road」のそれを思い出してなかなか印象的です。どれも別々で録音されたものをつなげたみたいですが、最後の”Power Cut”のところで4曲のフレーズが重なり合うところ何かサービス満点な感じします。ローリング・ストーン誌では☆一つで、これは最初の2枚よりも低かった。