13006■■□ダーティ・ハリー('71米)

ダーティハリー [DVD]

ダーティハリー [DVD]

監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッド、ジョン・ヴァーノン、アンディ・ロビンソン
フィンク夫妻の原案「Dead Right」をワーナーが買い取り、それをイーストウッドが自身のマルパソ・カンパニーで、師匠シーゲルを使って撮る事になった、刑事アクションの傑作。同時期の「フレンチ・コネクション」のドイル刑事(=G・ハックマン)と共に、刑事ドラマの新しいキャラとして後の映画、TVに与えた影響は、限りなく大きい。
TV「ローハイド」出身で、マカロニウエスタンで成功を収め、帰国したイーストウッドに、本国のマスコミは冷たくどこかキワモノ的評価しか下さなかったけど、この映画の成功(この年、ポール・ニューマンについで、money-making-starの第2位)で、一気にスターダムにのし上がった。 
そのファシズム礼讃的な(というか自警団的な)作風が大いに反発を呼んだ(毒舌で知られるかのポーリン・ケイル女史がその先鋒)が、セールス的に成功を収めた最初のイーストウッド作品となった。原案である「死んだ権利」は、ミランダ権利(容疑者の人権を守る権利)によって、犯罪者の権利ばかり保障されて、被害者の権利は死んだも同然、
というような意味だろう。昨今の少年法の問題で、加害者の権利が拡大解釈される事件も多いが、この当時の日本ではまず考えられなかった話。
他にはレニ・サントーニ(相棒ゴンザレス役、ここでは辛くも生き残る)、ハリー・ガーディノ、ジョン・ミッチャム(「3」で殉職)、リン・エジントンら。 
ラロ・シフリンのクールなジャズ風の音楽がカッコいい。ロビンソン(エドワードGロビンソンの息子)演じるサソリは、実在したサンフランシスコのサイコキラー、ゾディアックをモデルとしているとされる。後に続編があと4本作られるが、大概のシリーズ1本目と同じく、シリーズ化は今と違い、結果論であって、この1本目では、犯人を追い、
のぞきまがいの事やって、袋にされたり、自殺願望者を説得に行ったりと、日常の雑用に追われる、ハリー・キャラハン刑事も描かれる。

Malpaso Co / Warner Bros 1h42 ■■■