★★★DEJA VU−Crosby Stills Nash & Young ('70)

Deja Vu

Deja Vu

60's末のLAで影響力を持った重要なバンドは、バーズ、ビーチ・ボーイズ(これには異論がありそうですが)、バッファロー・スプリングフィールド、ドアーズ、ラヴあたりでしょう。

68年に解散したバッファローのスティーヴン・スティルスとバーズを辞めたデイヴィッド・クロスビー、そして英国からグラハム・ナッシュ(元ホリーズ)の3人からなるCS&Nがデビュー後間もなく、複雑なハーモニーを生かしたアコースティックな音で一世を風靡したのが69年。ここに元バッファローでRepriseから2枚のソロを出していたニール・ヤングが合流し、CSN&Yという形でリリースされたのが「Deja Vu」です。

グレッグ・リーヴス(b)とダラス・テイラー(ds)を加え6人編成のバンドらしさを強調したジャケットが印象的ですが、各人が持ち寄った曲をそれぞれがレコーディングし編集したと言われ、「作られた統一感」満載の1枚です。とりわけヤングの参加によって前作でイニシアティヴをとっていたスティルスが必要以上に気張り、それに反応した他の3人も並々ならぬエゴをむき出しにするという感じです。
代表曲の"Carry On"は、あきらめずに仕事をなしとげる、というような意味ですが、実は継続困難なこのバンドをcarry onするというような意味合いもあったとか(ちなみに後半の”Questions”は、バッファローの3枚目に入ってた同曲のモチーフの再利用です)。スティルス単独のフォーク・ブルーズ"4+20"がCSN&Y名義だったり、クロスビー&ナッシュが演奏にタッチせずにコーラスだけだったり(これは前作にもあったが)とか、ビートルズの「ホワイト・アルバム」を意識したような手法もあります。
ゲストはジョン・セバスチャン(harp)、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシア(steel)ら。ジョニ・ミッチェルが書いたウッドストック・フェスを歌った"Woodstock"は、かなりハードなアレンジで、カントリー・ロックな"Teach Your Children"(ある世代には「小さな恋のメロディ」のエンディングという共通認識があります)、ニュー・ファミリー的なムードの"Our House"、更にバッファローの"Broken Arrow"を焼き直したかのようなソフト・ロック"Countr Girl"とはずいぶん違う印象があります。

私見ですが、ヤングの参加は、グループにとっても、ヤングのキャリアの知名度も上昇したでしょうが、音楽的には混乱を増した、という印象。かといってCS&Nだけだと仲良し状態で緊張感に欠けるきらいもあって、なかなか難しいところです。ツアー終了後政治的なメッセージ・ソング"Ohio"を出してグループは休止状態になり、各人またソロに戻ってゆきます。

原盤 Atlantic:SD7200 70年3月リリース。