■■恋にめざめる頃('69日本)


監督:浅野正雄
出演:酒井和歌子、土屋嘉男、草笛光子市原悦子

【物語】 山本君子(酒井)は明るく美しいOL。会社の男子社員、小泉(東山)、松木(山本)、河島(川上)らの憧れの的。なんとか彼女の気を惹こうと皆が必死になっていた。君子の家族は母・悦子(草笛)だけ、母ひとり子ひとりの家庭だ。君子が物心つく前に、父・俊作(土屋)は駆け落ちして家を出てしまっていた。君子の心は未だ父親への思慕でいっぱいで、言い寄ってくるボーイフレンドには友達以上の感情を持てなかった。聞くところによれば、俊作は福島県の片田舎で温泉芸者と一緒になり、今では子供もいるという。そんな父から生活費が送金されてくるたびに、悦子は俊作のことを思い出しては恋歌を詠んでいた。叔母のとみ(文野)はそんな悦子を見て、無理矢理連れ戻せばいいと批難した。行動に出ない母をじれったく感じていた君子は、ひとり福島県に向かい、父を訪ねる。俊作は、美容院を経営する妻の雪子(市原)とふたりの子供とともに幸せに暮らしていた。そんな光景を目にした君子は疎外感を覚える。君子は俊作とふたりで登った雪山で、転げ落ちた拍子に感情を吐露し、俊作に戻ってきてほしいと懇願する。俊作の心は揺れ、一度上京することを承諾する。そうして悦子のもとへ戻った俊作だったが、ふたりの間の溝は埋まることなく、3日後俊作は福島県へと帰っていった。君子は自分の努力が報われなかったことに失望する。俊作が去ったあと、悦子は初めて結婚指輪をはずした。君子自身も思い続けてきた父親の影から解放され、前向きに歩き出そうと決意。通りかかった教会で結婚式を挙げるカップルを見て、恋をしようと心に誓うのだった。

成瀬巳喜男監督の「妻よ薔薇のやうに」('35)のリメイク。現代風にアレンジされていますが古くさい。ワコちゃんをめぐったステッキトリオの話かと思いきやそれは最初だけ。紀伊国屋周辺の新宿東口が懐かしい。寺田農と結婚引退(後に離婚)となった高橋紀子も出てます。ワコちゃんならではの表情の暗さ。八木正生によるテーマ曲の軽やかな感じが又メロドラマ的です。未DVD化。