ファンシー

作られたバンドというのがあります。所謂企画もののはずが、何の因果か大きな話になってゆく事も。
キャット・スティーヴンスを見出したプロデューサーのマイク・ハーストという人が、トロッグスの"Wild Thing"を女性voでカヴァーするというアイディアを、旧知のレイ・フェンウィック(g)に依頼。フェンウィックは元スペンサー・デイヴィス・グループのメンバーで、アフター・ティーなどオランダでの営業仕事も多い、ビジネスの才覚もあった人で、セッションマンのモ・フォスター(b〜アフィニティ、ショパン)、ヘンリー・スピネッティ(ds〜ハード、ストーリーテラー、レイジー・レイサー、クラプトン・バンド)に、ペントハウス誌のペットだったヘレン・カント(こんな人ですhttp://www.amazon.co.uk/Penthouse-Magazine-Charles-Schultz-interview/dp/B00518H19E)をvoにして74年に"Wild Thing"をカヴァー。イギリスでは不発でしたが、米Big Treeから出たシングルが#14まで上がるヒットとなり、思わぬ誤算からLPのレコーディングが必要となりました。

このレコーディングにあたりvoが、カントからアニー・カヴァナーに、dsがスピネッティからレス・ビンクス(後にジューダス・プリースト)に代わっています。ブロンドに髭面という美女と野獣のコンセプトを打ち出した、アイディア先行のもので、グラム風、ファンク風、ディスコ風の曲もありますが、基本線はアニー嬢のvoを聞かせる匿名的なポップロックです。75年のセカンド「Turns You On」(RCA)では、"She's Riding The Rock Machine"という曲がカッコイイ。