h:スティーヴ・ヒレッジ(Steve Hillage)
ギタリスト。1951年イギリス、ロンドン出身。
いわゆるプログレ系のギタリストでは一番好きな人。僕の好みの系譜からは少し離れたところにあるけど、プログレといえば、ゴング、ハットフィールズというカンタベリー系ばかり聞いてきたから仕方ない。
ケント州立大在学時から音楽活動を始め、エッグの前身となるユリエール、カーンを経て、ケヴィン・エアーズのバンドに参加。そこからデヴィッド・アレン率いるゴングに加わることになったのが、72年のこと。
・Flying Teapot(’73)
・Angel’s Egg(’73)
・You(’74)
のRadio Gnome Invisible三部作に参加。ゴングというバンドは、演劇的な即興性を得意としたサイケデリックなロックで、中心人物のアレン以外は皆テクニシャンという不思議な集団。メンバーは流動的だったが、この三部作に限っては固定されている。ここでヒレッジは弾きまくる、という感じではなかったが要所要所で流れるようなソロを聞かせる。特に「You」での”Isle Of Everywhere”は構成が素晴らしい。
リーダーのアレンとジリ・スマイスが抜けた後、ゴングは次第にジャズ色を強め、ピエール・ムーランを中心とするパーカッション主体のジャズロックへと変貌。園ピークは、傑作「Expersso Ⅱ」だが、それは別の機会に。
ヒレッジは、ゴングを離れ、ヴァージンからソロをリリース。
・Fish Rising(’75)
カンタベリー系総出演のコンセプトアルバム。
・L(’75)
ユートピアをバックにしたもの。ドノヴァンとビートルズのカヴァーあり。
・Motivation Radio(’77)
ファンク風味を加えた異色作。
・Green(’78)
スタジオ作としては頂点に達した感もあるが、反面単調でもある。
・Live Herald(’78)
なぜ4面ライヴにしなかったのか?
・Rainbow Dome Musik(’79)
実験的な大作。ミニマル的な味もあり。
・Open(’79)
時代柄テクノに挑戦した1枚。
・For To Next (’83)
いわゆるプログレ的なムードなのは、最初の「魚が出て来た日」だけで、トッド・ラングレンがprodした「L」、マルコム・セシル(モータウンのsyn奏者)がprodした「触発」は、どちらもプログレの範疇から外れる(後者はファンク的でもある)。ヒレッジのgというと、ディレイを多用した浮遊感のある(悪くいうと、眠くなる)独特のもので、ソロではさすがに弾きまくる。
集大成というべきなのが2LPの3面がライヴの「Live Herald」で、これと、BBCライヴ、最近発掘されたライヴの3枚で当時のステージが大まかながらわかる。いずれのライヴも夫人のミケット・ジロウディがsynとスキャット(ゴング用語では、space-whisper)を担当している。
信じられない話だが、ストーンズのミック・テイラーの後任の1人として名前が挙がった事もあったという。もし彼がストーンズに参加してたらどうなったろう?