第12回セレクト合戦・曲目発表

第12回セレクト合戦は、以前から何度かお題候補に挙がってた、コーラス&ハーモニー。
とにかく、コーラスとハーモニーが聞ける曲ならOKということ。ただし1曲目はビートルズ関係というお約束あり。

1)Devil In His Heart / The Donays ('61)
Kiss N Tell: 30 Works of Heart
ビートルズが2枚目でとりあげたカヴァー曲の1つ(HisをHerに変えている)。今回1曲目はビートルズ関係というシバリが意外と難しかったのです。ビートルズをどちらかというと苦手にしてるので、こんなカヴァーで逃げました(^^) ドネイズは、ノーザン・スタイルのガールグループで、デトロイト出身。これはBrentというレーベルから出たシングルで、これとそのB面しか聞いた事ありません。Aceからでた「Kiss’N’Tell」(’93)から。

2)Sacre Charlemagne / France Gall ('64)
Poupee De Son
何を隠そう、フランス・ギャルは大好きなのですが(ルックスも)、今まで絡めるセレクトがなかったのです。いまだ未完成の「子供たちのコーラス・セレクト」ですが、ギャルの”シャルマーニュ大王”はそっちにも入ってました。なんとも素敵です。4枚組の「Poupee De Son」から(このフランス盤ボックスを買うのに勇気がいった)。ちなみに日本でも大ヒットの”夢見るシャンソン人形”はこの次のシングルです。

3)風になれるなら / 伊藤銀次 ('77)

ごまのはえ〜ココナッツ・バンク〜シュガー・ベイブ〜バイ・バイ・セッション・バンドの伊藤銀次のファーストソロ「デッドリー・ドライヴ」から。幅広い人脈をいかしていろんな人がいろんなタイプの曲に参加してるが(インストが3曲というのが意外)、ここではハックルバック田中章弘(b)、後期シュガーの上原裕(ds)、緒方泰男(p)が参加したもの。印象的なコーラスは、大貫妙子で、シュガーのレパートリーでもあった”こぬか雨”の再演にも参加しています。以前ショックさんのところで、佐野元春ハートランドのメンバーとなった80’s以降の銀次の話が出てましたが、この70’sの銀次も「歌う名ギタリスト」*1です。

4)The Land 〜 Rainy Sunday Evening / Ramatam ('73)
In the April Came the Drawing of the Red Suns
ジミ・ヘンドリックス・イクスピアレンスのミッチ・ミッチェル(ds)、元アイアン・バタフライのマイク・ピネラ(g)を中心としたスーパー・グループ、ラマタムは、その面子からしてハードロックというか、時代柄ニューロックなわけですが、2枚目「In April Came The Dawning Of The Red Suns」(’73)が出る頃には、美貌の女性gtr、エイプリル・ロートンとトミー・サリヴァン(kb,vo)を中心とするトリオに替わってました。この曲はアルバムのトップに入った意表をつく、ソフトロックなナンバー。もちろんアルバム全体がこんな感じではないのですが、琴線に触れるメロディです。特に後半はグラハム・ナッシュを思い出します。

5)Easy To Slip / Bob Weir
Heaven Help the Fool
グレイトフル・デッドのgtr、ウィアのソロはジェリー・ガルシアほどではないけど、結構な数出てます。これはリトル・フィートのカヴァーで、78年の「Heaven Helps The Fool」から。ストレートなアメリカン・ロック路線で、リズム隊は、エルトン・ジョンのところのナイジェル・オルソンとディー・マレーだったりするが、デヴィッド・フォスター(kb)やビル・チャンプリン(kb)も加わったこのラインナップは、そう、マイケル・ディナーの「Tom Thumb The Dreamer」とほぼ同じです。

6)The Darkest Night Of The Year / The Tikis
Dance With Me-Autumn Teen Sound
ハーパーズ・ビザールを今回セレクトするメンバーはいるだろうなあ、と思って前身バンドのティキスを選びました。スライ・ストーンのオータムというサン・フランシスコのインディーから出したシングルで、ハッとさせられるくらい瑞々しいフォークロック。まあデモテープみたいな感じです。歌ってるのは多分テッド・テンプルマンでしょう。オータムが倒産してワーナーからハーパーズの名前で再デビューするのですが、4枚のアルバムはそれぞれ音楽性が違っておもしろい。僕はもう圧倒的にフォークロックな4枚目ですが、スウィングおよびノスタルジック好きな方々は2枚目でしょうか。

7)貿易風にさらされて / マザー・グース
CITY POP ~COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT edition
本筋のセレクトに入れるのは、初めてですがあちこちで紹介してるので、なんかいつも同じこと書いてる感じでもあります。マザー・グースは先日紙ジャケでCD化されました、70's半ばに、金沢から登場した女性ヴォーカル・トリオ。僕が初めて聞いたのはムッシュかまやつひろし)がやっていたラジオ番組「ライオン・フォーク・ビレッジ」ですが、デビュー曲”飛んでるルーシー”は、とても爽やかな印象でした。これは、エキスプレス殻76年に出たデビュー作、「インディアン・サマー」にも収められた、”貿易風にさらされて”のシングルヴァージョンで、アルバムが、ラストショウをバックにしたカントリーロック的なのに対して、こちらは都会的な感じで、山下達郎がprod&arr。おそらくエレキシタールタツローでしょうね。ちなみにこのバンドのメンバーの方は、shinodaさんの高校の後輩だとか。
日本コロムビア音源をあつめたシティ・ポップ・コンピになぜか収録(東芝なのにね)。

8)Right On Tip Of My Tongue / Brenda & Tarbulations
Didn't It Blow Your Mind!
ソウルものを、と思ってライノのコンピからセレクト。このフィラデルフィアのグループはよく知らないのですが、ブレンダ・ペイトンを中心とするラインナップは、60'sと70'sではメンバーが違うようです。これは71年の#23まで上がったヒット曲。60’sっぽい感じが逆に新鮮です。ホントはソウル系をもう1曲、ファズの”I Love You All Seasons”あたりを予定してたのですが、流れました(^^;

9)The 81 / Candy & The Kisses
Here Come the Girls, Vol. 9: Slow Fizz
70’sにはショッキング・ブルーやジョージ・ベイカー・セレクションなどのオランダ勢をアメリカーのチャートの上位に叩き込んだコロッサスレーベルの仕掛け人として、60’s後期には、キース、スパンキー&アワー・ギャングのprodとしてソフトロック作品をマーキュリーで量産したジェリー・ロスという人は、60’s初めには、スペクター風のガール・グループ・サウンドでいくつかのグループを手がけてます。おそらく一番有名な(ヒットした)のが、キャンディ&ザ・キッシズのこの曲。64年のCameoからのリリースで#51まで上がるヒットとなってます。共作者はケニー・ギャンブルです。ジェリー・ロス関連の音源を集めた「Slow Fizz」から。

10)Come And Get Your Love / Redbone

ネイティヴ・アメリカンのパットとロリーのヴェガス兄弟を中心とした4人組で、その音は意外とソウル的です。この曲は最大のヒット曲で、エレキ・シタールが印象的な曲。シングルヴァージョンはイントロのコーラスはなしですが、これは「Wovoka」から。初めて聞いたのは萩原健太さんの番組「ミュージック・シティ」でした。

11)はずかしそうに / 小坂忠
喫茶ロック ソニー編
「ほうろう」のR&B路線と「ありがとう」のフォーク路線は、同じ人とは思えませんが、その間にある「はずかしそうに」はその中間的匂いがします。このタイトル曲では、ハイ・ファイ・セットのメンバー(当時は赤い鳥)のコーラスが意外とゴスペルっぽい感じします。「喫茶ロック」のソニー編から。

12)Sweet Lovin' / Poco
Good Feelin' To Know
白人によるカントリー・ロックが実は黒人のゴスペルに意外と近いところにある、と言うことに気づかせたのは、ポコの「A Good Feelin’To Know」*2収められたこの曲でした。イントロのオルガンみたいなのは、ラスティ・ヤングがペダル・スティールをレズリー・スピーカーを使って歪ませてます。ピアノはバリー・フロスト。リッチー・フューレイ時代のポコの代表作であることは、satou・bさんならお分かりでしょうね。

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セレクターの方々のすごいところは、何と言ってもその雑食性というか、リスナーとしてのワイドレンジな部分で、今回も「コーラス&ハーモニー」というお題で、僕が想像も付かないような(そして素晴らしい)音楽が、いろいろ紹介されてます。曲目発表後それぞれのセレクトを、例によって「勝手な」レヴューしてゆきたいと思います。

*1:イカ天ではこう紹介されてました

*2:オリジナルLPはこんな色ではなく黄色っぽい色でしたが