44■■ミスティック・リバー('03米)

監督：クリント・イーストウッド
主演：ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン
この年のアカデミー主演男優（ペン）、助演男優（ロビンス）の２部門を制覇したサスペンス。原作はデニス・ルヘイン。イーストウッドは監督だけで出演していない。「もうひとつの「スタンド・バイ・ミー」」とか、たわけた事を言ってる輩は置いといくとして、感情的になって批判してる人が意外と多いのにびっくり。９０年代以降のイーストウッドは、俳優としてよりも演出家として高い評価を受けているが、ハリウッド的なものに流されない、硬派な作品を撮り続けてる事もある。ただ映画会社が考える「娯楽性」とは、かなりずれていて、それが近作「ミリオンダラー・ベイビーズ」を撮るにあたっての障害となったのだけど。ペン、ロビンス、ベーコンの三者三様の演技合戦とも言えるこの映画、明快な爽快感はなく、むしろ見終わってから暗い澱のようなものが残る作品だけど、自分だけよければいいというペンに現代のアメリカを重ね合わせるような事は思えないし、かといって手放しで絶賛されるような作品でもない。今の感じはあくまでも「平均的な」それでいて役者の芝居がうまい「サスペンス」。ユーモアの要素が一切ないあたりにも好感が持てる。他にはローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニーら。
Ｗａｒｎｅｒ　Ｂｒｏｔｈｅｒｓ、２ｈ１８