1 Don't Believe In A Miracle / Colin Blunstone
エニスモア
某サイトに名曲メドレーというすばらしい企画がありますが、メドレーではないけど、あれみたく曲単位で紹介したいです。
ゾンビーズ(Zombies)のシンガーだった、コリンブランストーンの2枚目ソロ「エニスモア」('73)から。夢見る若き女性だったら一発で参ってしまいそうな甘い、ロマンティックな歌声が印象的な人。70'sのメロディアスな英国ロック好きにはぜひともお勧めしたい1枚。72年に英国でシングルになってるが、セールス的に不発だったとは信じがたい素晴らしい出来。
僕は長いことフラッシュで買ったUS盤LPで持ってたけど、年末にCDで買い直し(日本盤あり)。ジャケットが、英米で違ったりとコレクター泣かせの人らしい(僕は違うんで泣かない)が、CDはUK盤オリジナルに準じたモノクロのもの。裏はUS盤と同じ写真だけど、
カラーな分LPのほうがいい。
一般的には前作「1年間(OneYear)」が評価高い人だけど、ストリングスセクションが、バックについたクラシカルなものが苦手な分、僕にはこっちの方がいい。
(’03.1.1)

3 Miracle Of Love / Edgar Winter Group
Shock Treatment
74年の傑作「ショックトリートメント」から。エドガーウインターの R&Bやジャズ色が濃いその長き音楽キャリアの中にあって、EWGの数年は「ポップでメロディアス」度がひときわ高い時期。 それは、優れたメロディメイカーでありマルチプレーヤーの、リックデリンジャー、ダンハートマンが絡んでる事とつながってくるけど、とりわけ「ショック療法」はダン色が濃い1枚。
前曲”サンダウン”からの流れが最高に心地よいのは、虫の声のSE(という禁じ手〜SE好きですから)が入ってるのもある。エドガーとダンの共作でvoはエドガー。
ここでの目くるめくシンセは、この楽器が、プログレ以外のロックのジャンルで急速に注目されだした時期よりも、ずいぶん早くエドガーが手をつけてた事実を思い出す。
実験的ながら堂々としたポップミュージックとして完成していた(全米#1)”フランケンシュタイン”を見よ(聞け)。
少なくとも僕はEWGは、東部の(メロディアスな)ハードロック(エドガーはテキサス出身ですが)として位置づけてるんで、これ前後の活動には、残念ながら、積極的キョーミを失ってしまうけど、ジャケットやイメージ(当時のCBSソニー洋楽部の戦略ときたら・・・)
で引いてしまう人も多いだろうけど、騙されついでに、ぜひどうぞ。
(’03.1.3)

6 I'm Gonna Stop Drinking Again / Paice Ashton Lord
Malice in Wonderland
ディープパープルが76年に解散したあと、ジョンロードとイアンペイスが、古くからの仲間、トニーアシュトンと組んだバンドがPAL。その当時音楽を聞き始めた僕も、どんなすごいハードロック(もしくはプログレ)が、出てくるんかなあ、と期待大だったけど、蓋をあければ、ソウルっぽい音で大いにずっこけた覚え。
アシュトンとロードの付き合いは古く、それを紐解いてけば、この音は容易に予想付くんだけど、当時は昔のレコードもなかなか入手困難だったし、若気の至りといった感じ。けれど、音楽生活の早い時期にインプットされたこの音(好きになろうとして懸命に聞くでしょ)は、現在まで、脳のどっかにしっかりとこびりついてる。
主導権を握ってるのは、アシュトン。アシュトンガードナー+ダイクでも、渋い喉を聞かせてた、ヴェテランのピアノ弾き兼シンガーで、この曲でもしゃがれ声がいい感じの、バラードに仕上がっている。
唯一のアルバム「マリス・イン・ワンダーランド」('77)を残して解散してしまったのは、やはり趣味的な要素が強い音だからで、パンク、ニューウェーヴ一色だった、当時のシーンでは、こういった音(ビッグバンドのロック化)を受け入れる余裕もなかったんだろうなあ。
(’03.1.6)

9 Can't Find My Way Home / Blind Faith
スーパー・ジャイアンツ・ブラインド・フェイス
クリームを辞めた2人の方面で語られることが多いけど、僕的には、新旧2つのトラフィックを結ぶミッシングリンク的な1枚。復活後のトラフィックの「ジョン・バーレーコーン」があれほどまでにフォーク的なニュアンスがあったのかは、ブラインド・フェイスのこの曲とも、関係があるのかも?
69年に誕生した世界で2番目のスーパーグループ(最初はCS&Nかな)。クリームのクラプトンとジンジャー・ベイカートラフィックのスティーヴィー・ウインウッド、ぐっと知名度は落ちてファミリーのリック・グレッチからなる4人組だが、後に「会社によって作られた」スーバーグループということが判明している。よって唯一のLP(少女のヌードのジャケットは英米では許可されず、差し替えられたけど、日本盤はOKだった)によって消滅。
この曲は、ボニー・レイットやカナダのジェイムズ&グッドブラザーズなんかが、カヴァーしているけど、アコースティックなムードでスティーヴィー(と昔は呼んでた、スティーヴじゃなくて)のソウルフルな歌声が冴えます。
余談ですが、方向音痴の僕にとっては愛着あるタイトル。
(’03.1.9)

13 You By My Side / Chris Squire
Fish Out of Water
長いキャリアを誇るヴェテラングループが、マンネリを打開する方法として、しばらく活動を停止してメンバーのソロ活動で リフレッシュするというのがある。75年から76年にかけてイエスのメンバーが 次々と順番にソロを出したのは、まさにそんな意味合いもあったんだろうなあ。緊張感が長時間持続するイエスの音楽は、決して得意ではないが、時折挟まれた牧歌的なメロディには惹かれる。
ベーシスト、クリス・スクワイアは確かデビューから現在まで唯一のオリジナル・メンバーだったはず。この76年の初ソロ「フィッシュアウトオブザウォーター」では歌っているが、注目すべきはリード・ベースといえそうなスタイル。ビル・ブルフォード、パトリック・モラーツといった、プログレ畑からの参加もあって、長めのシンフォニックな曲が多いが、この曲はポール・マッカートニー系のメロディをもったナンバー。
途中のフルートソロは、キャラヴァンのサブメンバーのジミー・ヘイスティングス
この時期出てるイエスメンバーのソロは、スティーヴ・ハウやアラン・ホワイトのも聞いてるが、全くプログレと関係ないホワイトのソロが、ベル&アークの流れを含む、地域の人脈が生きていておもしろい。
(’03.1.13)