ザ・チャン


■Day Off / The Chang
現在はTICAで活動する石井マサユキ(g,vo)がいた4人組、ザ・チャンは95年にデビュー。たった2枚のCDを残して解散してしまったけど、僕は大いにはまった。出会いは今はなき新宿パワー・ステーションで定期的に行われていたライヴ、Saturday Night R&R Show。その何回目かにチャンは登場。確かコレクターズ(これが目当て)がトリでデビュー間もないUA(少し不調だった気がする)とあと一組という記憶。そのステージはハーモニカ奏者、今出宏をゲストに迎えた熱いもので、アンプリファイアード・ハープが実にカッコいいゴキゲンなものだった。
この「Day Off」は95年のファースト。英国レコーディングでprodはシンプリー・レッドのメンバーとしても注目されていた屋敷豪太。クラブ・ミュージックが今ほど市民権を得てなかった10年前、フリーソウル、レア・グルーヴとして注目されたジャンルを超えた過去の洋楽を消化したその音楽は、今も輝きを失っていない。先行シングルとなった"春一番が吹いた日"よりも"今日の雨はいい雨だ"のようなものが好き。日々を精一杯生きる等身大の歌詞が、とうに若者という年齢を越してた当時の僕にも大いに共感を得たのだ。特に落ち込んで部屋にこもっている友人に、(外へ)出て来いよ、と歌われる”でかけるべきだ”は芳醇な演奏もまた素晴らしい。歌われるテーマは、延々と続く同じような日々への思い("Lazy Day")何気ない日々の何てことないスケッチ("何もしない日""なんてことないさ")、都会で暮らすことの孤独("毎日を変えておくれ")、かと思うと、日々を気楽に生きようと歌われる"人生は軽いタッチ"など、今も心に突き刺さってくるのだ。
たまに見かける中古屋では、「カーネーション好きなリスナー向き」というコメントもあったが、確かにそうかも知れないなあ。