トム・ジョンストン

Everything You've Heard Is True
■Everything You've Heard Is True / Tom Johnston
ドゥービー・ブラザーズは、トム・ジョンストンの初期、マイケル・マクドナルドの後期で、ファン層が分かれることで有名だ。なんとなく判っていたが、ネット始めてこの両者の溝が、思ったほど深かったことに気づいたのだった。初ドゥービーは「Livin' On The Fault Line」なので、ジョンストン脱退後、マクドナルドに完全に主導権が移る過度期がいちばん好みだったりするのだ(79年の来日公演は初めて見たコンサートだった)。
ジョンストンの休養・脱退は病気のせい、と言われてるが、あの時代のことだ、おそらくドラッグかアルコール問題だろう。「Takin'It To The Street」では1曲だけに参加。その直前に行われた初来日にも不参加だったジョンストンは、「Fault Line」ではコーラスに参加。かろうじてフォトセッションには加わっているが、これはマネージメントの策略だろう。78年に出た最初のソロ「真実の響き」(と言う邦題がついていた)は、本格的な復帰作と言う事で大いに期待したが、R&Bにに根ざした趣味的なものだった(同時期にソロを出したイーグルスランディ・マイズナーとダブる)。元々初期ドゥービーにあって、フォーク的なものはパット・シモンズが、R&B的なものは、ジョンストンが担っていたが、趣味性をストレートに出した本作を歓迎するほどファンは、器が大きくなかった。当時の評は散々だった気もするが、それはストレートなロックからAORに移行する時代の流れのせいだけではなかったはず。タワー・オブ・パワーメンフィス・ホーンズをフィーチャーしたR&Bタイプのナンバーは、悪くはないが大味。シングルカットされた"Savannha Nights"は、ディスコ調で、マーク・ジョーダンのclavinetがファンキーだがイマイチ。そのclavinetは、"Down Along The River"でも聞けるがそっちはカッコいい(アンドリュー・ラヴのsaxソロもいい)。バックには、クラッキンのリック・チャダーコフ(b)、リック・シュローサー(ds)、キース・クヌッドセン(ds)、ボブ・グローブ(b)ら。ニコレット・ラーソンが数曲でコーラスをつけている。