ラルフ・マクテル

Streets of London
■Streets… / Ralph McTell
ラルフ・マクテルの名前を聞いたのは、本当に恥ずかしいのだけど深民淳氏の「ルーツ・オブ・ブリティッシュハード・ロック」の巻末のLPセレクションから。もちろんこの本は、ハードロックのルーツとなったパンク以前の70'sの英国ロックの本なので、こういったフォーク・シンガーも入っているのだ。そこで紹介されていたのが、マクテルの75年リリースの本作。元々トランスアトランティックから60'sにデビューしたフォーク系のsswで、その頃の作品に比べると、ずいぶんコンテンポラリーな感じになっている。代表曲の"Streets Of London"(メアリー・ホプキンもカヴァー)は、69年のトランスアトランティック時代の「Spiral Staircase」に収められてたものの再演で、こちらは#2まであがるヒットとなっている。アルバムには、フェアポート・コンヴェンションのデイヴ・ペグ(b)、ジェリー・ドナヒュー(g)、ペンタングルのダニー・トンプソン(b)、スティーライ・スパンのマディ・プライア(vo)、ジャック・ザ・ラッドのロッド・クレメンツ(b)らが参加しているが、アクセントとなっているのは、PyeからLPを出してる男女のコーラス・トリオ、プレリュードの存在で、いくつかの曲でいい仕事をしている。アメリカ人steel奏者、ハンク・デヴィートが加わったカントリー・ロック、"Another Star Ascending"(コーラスはココモ)があるかと思うと、アンクル・ドッグのサム・ミッチェルがライ・クーダー張りの生スライド(national-steel)を聞かせる"Country Boys"、レゲエ風の"Grande Affaire"など多彩。それでも、当たり前だが、根っこの部分はちゃんとブリティッシュ・フォーク(ロック)なのだ。
他にはstringsとの調和性がゴードン・ライトフットを思い出す"Heron Song"、"You Make Me Feel Good"などがいい。