トニー・コジネク
■Bad Girl Song / Tony Kosinec
それまでウエストコーストの耳障りのいい音楽ばかりを聞いていた僕を、もう少し突っ込んで、「うた」と「うたい手」の存在、関係に改めて関心が向くようになったのは、このコジネクの2枚目を聞いたことが大きいかなあ。81年CBSソニーが、「イッツ・ア・ビューティフル・ロック・デイ」シリーズの1枚としてリリース。存在はその奇妙なイラストと共に知っていたが、prodがピーター・アッシャーでラス・カンケル(ds)が加わっている(他には、マリベス・ソロモン(p,fl)、マーク・ラムス(b))事くらいしか事前の情報はなかった。
音の方は非常にシンプルなもの。サリンジャーの短編小説を思わせるような歌詞世界には、当時から今もひきつけられっぱなし。当時のマジカルなライナーは、CBSソニーのディレクターの黒田日出良氏が書いていたが、黒田氏は現在は渚十吾と名乗って音楽活動、執筆活動を続けている。コジネクはカナダ出身のsswで、ライトハウスのポール・ホッファーとスキップ・ロコプのprodで69年「Processes」でデビュー。本人はその出来にひどく落胆したと書いていたが、それほど悪くない。70年の「Bad Girl Songs」は2枚目。可愛らしい"Come And Go"、友達の名前がいっぱい出てくる"Me And My Friends"、ラヴィン・スプーンフルのザル・ヤノフスキーがgで加わった"Wheatfield"が素晴らしい。
ショック太郎さんもここで書いてます。