キング・クリムゾン

Islands: 30th Anniversary Edition
■Islands / King Crimson
1作ごとにメンバーを代えるクリムゾンの、これは4枚目。前期クリムゾン(正式にはlineup2Aと言うらしい(前2作はTransitional lineupI,Ⅱと言われる)の最終作。ロバート・フリップ(g,melotron)、ピート・シンフィールド(words)、メル・コリンズ(sax,fl)に新加入のボズ(vo,b)、イアン・ウォーレス(ds)の4人にゲストとしてキース・ティペット・グループが客演。前作「Lizard」の流れを汲むジャジーなムードだが、いわゆるジャズロックではない。(去年の紙ジャケのライナー(赤岩和美氏)では、シンフィールドかなり難解歌詞世界のコンセプトがホメロスの「オデュッセア」から取られている事が、詳細に分析されており、まさしく何度目かの再発CDライナーのお手本となっている)
フリー・フォームな"Formenterra Lady"は、レコーディングの空間ごとパッケージされたような録音風景がリマスターによって再現され素晴らしい。その風貌から信じられないようなハイトーンの歌声をボズ(60'sには何枚かソロシングルを出していた。その後加わったバッド・カンパニーでは歌うことはなかった)は聞かせ、後半はセイレーンのようだ。つながる"Sailor's Tale"は、激しいインプロヴィゼーションの掛け合い。ビートルズ風の"Ladies Of The Road"は、グルーピーのことを歌ったもの。ロビン・ミラーのoboeから始まる"Prelude"からつながる、"Islands"はじわじわ盛り上がる名曲。特にマーク・チャリグのcornetソロは素晴らしい。
シンフィールドの脱退後、行われた米ツアーの模様を収めたのが粗悪な音質の「Earthbound」だが、フリップと他の3人の溝は深く、3人はサポートだったアレクシス・コーナー&ピーター・ソラップとのセッションを繰り返し、フリップが苦手なブルーズをステージに持ち込んだと言う。ツアー終了後、3人はコーナー&ソラップとスネイプを結成。そのアルバムのタイトルが「Accidentally Born In New Orleans」(ニュー・オーリンズにて突然誕生)とはバンド成立の由来を表わしてるらしい。