hello#3

No Reason to Cry
■Hello Old Friend / Eric Clapton
マリブのシャングリラ・スタジオ録音。ザ・バンドの面々が加わった"Sign Language"(ディランとのデュエット)や"All Our Past Time"ばかりが目立つが、次の「Slowhand」と並んで、ジョージ・テリー(g)、カール・レイドル(b)、ディック・シムズ(kb)、ジェイミー・オールドエイカー(ds)、マーシー・レヴィー(vo)のクラプトン・バンドの円熟の技を堪能できるアルバムだ。この頃のクラプトンは、従来のブルーズ一辺倒から、ポップなものに興味が出てきたようにも思われ、この「No Reason To Cry」('76)でも、マーシー・レヴィーが歌った"Innocent Time"は、76年版デラニー&ボニーといった趣だがずいぶん洗練されているし、#24というスマッシュヒットとなった"Hello Old Friend"にしても、organやコーラスの使い方が、明るく爽やかな感じを出している。実際この曲など、クラプトン以上にマーシー・レヴィーのコーラスが光るのだ。
         おまけ
このメンツによるクラプトン・バンドは78年の「Backless」を最後に解散するのだが、マーシー・レヴィーは同じレーベルのRSOが製作した映画「タイムズ・スクエア」の主題歌、"Help Me"をロビン・ギブ(ビージーズ)とデュエット。その後Epicから「Mercella」というソロを出したがAOR時代に乗っかったあまり印象に残るものではなかった。マーセラ・デトロイトと名乗ったのは、80'sに入ってからだが、88年には元バナナラマのシヴォーンとシェイクスピアズ・シスターを結成している。これはクラプトン・バンドの一員で、デレク&ザ・ドミノスからクラプトンと行動を共にした、06年のカール・レイドルの追悼コンサートの動画で、クラプトン抜きの5人が参加している。