デイル・ホーキンズ

LA, MEMPHIS & TYLER, TEXAS
■LA,Memphis & Tyler,Texas / Dale Hawkins
デイル・ホーキンズといえば、CCRがカヴァーしたロックンロール・クラシック"Susie-Q"で知られたロカビリー系のロックンローラー/ギタリスト。このルイジアナ出身の大ヴェテランが69年にBellに残したのが「LA,Memphis & Tyler,Texas」で、早すぎたスワンプロック風の快作だ。時代柄スワンプロックというものは生まれてないが、ジョー・サウスやビリー・ジョー・ロイヤルの世界に近い南部の白人カントリーの要素もある。タイトル通り、LA、メンフィス、テキサスの3ヶ所でレコーディングされており、LAではジョー・オズボーン(b)、ポール・ハンフリー(ds)、ジェームズ・バートン(g)に混じって若きライ・クーダーがゴキゲンなスライドを聞かせる。メンフィスではタジ・マハール(harp)、スプーナー・オールダム(el-p)、ダン・ペン(vo)、メンフィス・ホーンズの前身ともいえるウェイン・ジャクソン&Co(horn)というこれまた濃いメンツが参加。テキサスではリトル・フィート以前のビル・ペイン(org)がロバート・ペインの名前で加わってる他、後にホーキンズがprodするカントリー・ロックのリオ・グランデ(60's末にはマウスの名前で活動)のロニー・ワイス(g)が参加している。
冒頭のタイトル曲は、ホーンズの感じからしてメンフィスっぽいが、切り込み鋭いスライドはライ・クーダーだろう。ボックス・トップスの曲を書いていたウェイン・カーソン・トンプソンとホーキンズの共作になる"Heavy On My Mind"もスライドがカッコイイ。ベストトラックの1つが、ジョー・サウス的な"Joe"(なんとボビー・チャールズ作品)でel-sitarがまぶしい。エルヴィスの"Hound Dog"のカヴァーでは、タジ・マハールのharpが聞ける。"La-La La-La"もチャールズ作品でメロディアスで甘い感じの曲。フレッド・ニールの名前が入ったブルージーな"Candy Man"、ケニー・ロジャースがファースト・エディション時代にヒットさせる"Ruby,Don't Take Your Love To Town"、ノヴェルティータイプの"Little Rain Cloud"(インストヴァージョンの"Backstreet"も収録)もなかなかカッコイイのだ。こんなほとんど忘れられていた作品を引っ張り出してくるなんて、さすがRevOla!