ride#3

They Only Come Out at Night
■Free Ride / Edgar Winter Group
その悪趣味なジャケットでずいぶん損をしているがエドガー・ウィンターにとって4枚目になる「They Only Come Out At Night」('72)は、アメリカンロックのあまり語られない名盤の1つ。ルーツにブルーズとR&Bとジャズを持つエドガー・ウィンターが過去3枚でやってたことは白人によるソウルとブラスロックとロックンロールの融合みたいなことで、一区切りつけたあと、prodも担当していた元マコイーズのリック・デリンジャー(g)、ダン・ハートマン(vo,b)、チャック・ラフ(ds)、ロニー・モントローズ(g)とエドガー・ウィンター・グループを結成。ハートマンの持つポップなメロディアスな面が新しい血となって大きく開花している。ハートマンの歌うメロディアスなポップロックエドガーのファンキー気質と相まってとても洗練されたムードをかもし出す。70'sはじめのアメリカのハードロックという文脈であまりこのグループは語られないけど、忘れてはいけない。"Free Ride"は軽快なダンサブルなナンバーで、#12まで上がったもの。ハートマンらしいメロディーだ。何故かランディー・ジョー・ホブス(b)、ジョニー・バダナジジーク(ds)が参加。ジャケットにはデリンジャーは扱いが小さく、ここではあくまでも黒子的な存在。だが"Round & Round"でsteelを弾いてカントリー・ロック風のテイストを出したり、"When It Comes"でslideを弾いたり(エドガーの吹くsaxとの相性も抜群)と印象に残る。モントローズは後に脱退して自身のバンドを率いて話題となった(ヴァン・ヘイレンに参加したサミー・ヘイガー(vo)がいた)が、ここでも"Rock'N'Roll Boogie Woogie Blues"や"Undercover Man"で粘っこいgを聞かせる。圧巻は各人のソロを盛り込んだインストの"Frankenstein"で、見事#1となった。