motorcycle#2

ワウ
■Motorcycle Irene / Moby Grape
キング・クリムゾンの「Lizard」あたりにも通じるジャケットだなあ、と思ってたのが高校生の頃。確かサンリオから出た「ロック名盤のすべて」というムック本か、ストーム・ソーガソン(ヒプノシスね)とロジャー・ディーンによるジャケット本「Album Cover Album」(邦訳は講談社から)で見かけて気になってた。実際にこのモビー・グレイプの「Wow」を耳にしたのは、大学生の頃で、中古屋でLPを購入。78回転でしか聞けない曲があったり、フォークロック調から、サイケ〜アシッド・フォークまでわりと混沌とした内容だった。はっぴいえんどバッファロースプリングフィールドと同様影響を受けていたと知ったのも、ずいぶん後になってから。シスコ出身ながら、シスコロックというくくりでは語られることの少ないバンドではある。デビューは67年で、1年後のCS&Nの登場を予感させる斬新なハーモニーやコンパクトにまとまった演奏(ややガレージっぽい)も魅力だった1枚目に比べると、2枚目の「Wow」は作られた感じがする1枚。バイク音のSEが挿入された"Motorcycle Irene"は、シンプルなロックンロールながら、60'sに多くあったデス・ソング(シャングリラスの"Leader Of The Pack"とか、グッディーズの"Cndition Red"とか)へのトリビュートみたいな感じで面白い。エンディング近くのクラッシュ音は、76年に出たティン・パン・アレーの「キャラメル・ママ」に収録された"Jackson"(歌は松任谷正隆)のイントロに引用された。はっぴいえんどとモビー・グレイプの関係を考えると面白い。メンバーは、初期のドゥービーにもかかわった元ジェファーソン・エアプレインのスキップ・スペンス(g)、ピーター・ルイス(g)、ジェリー・ミラー(g)、ドン・スティーヴンス(ds)、ボブ・モズレー(b)の5人。全員が歌える強みあり。ただ5枚のシングルを同時発売した米Columbiaのプロモートの仕方などが失敗に終り商業的成功とは無縁。この辺は英ブリンズレー・シュワーツに近いものがある(どっちも後年再評価)。