city#2

レット・ミー・タッチ・ユー
■Union City Blues / Trade Martin
ジャスト・アス〜ゴーゴーニ、マーティン&テイラーのトレイド・マーティンの72年のソロ「Let Me Touch You」(ブッダ)を初めて聞いたとき、まず最初に思い浮かべたのは山下達郎だった。達郎という人は、知ってのとおり未曾有の音楽知識を持ったコレクターであり、自身の創作活動にそういった音楽的背景が生かされているが、よく煮込んだカレーの具が溶け込んでしまっているように、ここの曲に「○○っぽい」という指摘はしにくい(もちろんビーチボーイズアイズレー・ブラザーズという大ネタはあるが)。それだけ良く煮込んで自分のものにしてるからなのだろう。マーティンの"Union City Blues"は、曲の展開からして、70's後半の達郎っぽくて(特に途中hornのソロがあって、stringsがかぶさるあたり)、初めて聞いたとき思わず唸ってしまった。ゴーゴーニ、マーティン&テイラーがわりとあっさりとしたアコースティックな音だったのに対し、ここでの世界は、濃厚なワインをおもわせるこってり系で、イタロ・アメリカンなポップスから、モータウンなどのR&B、そしてドゥー・ワップ、ロックンロールが混ざった作り。更にほとんどの楽器をマーティンが手がけているのも面白い。パティ・ラベル&ブルーベルズ、ヴァニラ・ファッジ、イーヴィー・サンズがカヴァーした"Take Me For A Little While"は、この人の代表作だが、ここでも再演している。
日本では2回CD化されているほどの人気盤だが、本国ではCDになっていない。山崎まさよしのアルバムのジャケットは、ここからの引用?ステレオ