fever#2

Coast to Coast Fever
■Coast To Coast Fever / David Wiffen
カナダのsswと聞くと身構えてしまう。僕が洋楽に親しみ始めた70's後半、こういったssw的な音は既に衰退し、生き残る為には過剰なarrでAORに走るか、マイナー・レーベル(当時インディーと言う言葉はなかった)で細々と活動するしかなかった。後者のアーティストは、予算的な問題で原点である弾き語りの世界に入らざるを得なかったのだけど、全編弾き語りの世界はツライ。言葉の問題もあるけど、真摯に「うた」と向かい合わなければならない事が、80's(実際にsswに興味を示したのはこの時期)には退屈だったのだ。カナダのsswは、日本に入荷する数が少なく、スタイルもこうしたシリアスなタイプが多かったこともあって、数少ない例外(トニー・コジネクが代表選手)を除いて避けてきた気もする。聞き手の姿勢が問われる気がして… でもそんなことどうでもいいや、と思えてきたのはCDの時代になって、比較的手に入りやすくなったから。未だにブルース・コバーンは苦手だけど。
デイヴィッド・ウィッフェンは、エリック・アンダースンの「Blue River」に"More Often The Not"が取り上げられて注目された人。ファンタシーから出たファースト(こちらは伊アカルマからCD化)に収められていた。73年の「Coast To Coast Fever」はキャピトルから出た2枚目。prodにブルース・コバーンが参加している他、コバーンやマレイ・マクラクランやウィリー・ベネットのナンバーをカヴァーしたカナダ・メイドのアルバム。73年というまだ時代がsswに寛容だった時期もあって(しかもメジャーのキャピトルだ)重苦しい感じはない。