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Mariposa De Oro
■So Good To Be Home / Dave Mason
初めてデイヴ・メイスンをちゃんと聞いたのは、78年の「Mariposa de Oro」(邦題は「黄金の蝶」)で、渋谷陽一の「ヤング・ジョッキー」だった気がする。その前にカリフォルニア・ジャム2があって、「Music In USA」で見たヘンな着物みたいなのを着たオッサンがメイスンだったのだ。そのライヴでは"Let It Go Let It Flow"と"Perly Queen"をやって後者がトラフィックの曲だと知った(その時点でメイスンがオリジナルでも歌ってたと思ってた。78年当時トラフィックはほとんどが廃盤で、後年廉価で出た「Mr.Fantasy」を買ったけど、その当時メイスンがやってた音とはかなり印象が違った)のだ。その前年には初来日があって、FM雑誌でグラビア眺めながらナマズ顔だなあと思ったことを覚えている。
件の「Mariposa de Oro」は今ではオーヴァー・ストリングスな大甘な1枚という評価だけど、あの当時はそれをまろやかと思ってよく聞いた。80'sにソングライターとしてブレイクする、ジェリー・ウィリアムス(70'sに出たニッキー・ホプキンスのソロで歌ってた南部っぽいテイストのsswで、CBS傘下のスピンディジーからデビュー)が大半の曲をメイスンと共作している。泣きのフレーズとか、情念のギタリストとか、当時演歌的なフレーズで形容されることの多かったメイスンだけど、ここでは確かにそういうフレーズが多い。シングルカットされたシレルズのカヴァー(キャロル・キング作)の"Will You Still Love Me Tomorrow"などその際たるもので、どの曲もポップにまとまりすぎているきらいはあるが、よく出来ている。"So Good To Be Home"は、アコギの使い方がまろやか。リック・ジェイガー(ds)、ジェラルド・ジョンソン(b)、マイク・フィニガン(kb)、ジム・クリューガー(g)から成るメイスン・バンドの最後の1枚で、フィニガンとクリューガーは、レス・デューデックとのDFK・バンドを結成する。ただメイスンのキャリアは前作「Let It Flow」をピークに下降線となり、2年後の「Old Crest On A New Wave」が出た頃には、誰も見向きもしなくなっていた。時代の流れるスピードの速さについてゆけなかった好例。