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■Rolin' Home / Guthrie Thomas
テキサス出身のフォーキーなssw、ガスリー・トーマスのメジャーデビューは75年、キャピトルからだけど、それ以前には2枚のインディーからのLPがある。75年は、sswと言うジャンルは緩やかに下降線を描きながら、商業主義に取り込まれ始めた時期で、日本で静かなsswブームが、輸入盤店や「ニュー・ミュージック・マガジン」を中心に起きたのは、翌76年のこと。77年になるとポップロック、ディスコ音楽に、79年になるとAORに取り込まれてしまい、真摯なスタイルを持った(歌うべき何かを持った)歌い手は、地下にもぐってゆくのだった。
さて日本では76年の2枚目「Lies & Alibis」の方がリリースが先になったが、評価そのものはファーストの「1」の方が高い。ただウディー・ガスリーやランブリン・ジャック・エリオットに傾倒したトーマスの音楽性は、当時の感覚からすると古いかもしれず、それを恐れたキャピトルはロック世代にアピールするようなコンテンポラリーな音作りを強要。prodはニコラス・ヴェネで、ワディー・ワクテル(g)、ダン・ダグモア(steel)、ジム・ケルトナー、ロン・タット(ds)らLAのセッション・マンで、A面はウェイン・ベリーほどではないけど、その資質と離れたポップな面が強調されていた。一方B面では弾き語りを中心としたフォーキーな味わいを満載している。文脈で行けば、B面の出来がいい、と書きたいところだが、これらはどうも力がなく、あまり印象に残らない。逆にお仕着せの感じはあるもののA面の作品群の方が出来がいいのだ。トップを飾る"Rollin' Home"は、おなじみとなった放浪の歌で、♪アメリカ、おまえは俺の足の下にある〜と歌われるホーボー・ソング。徐々に盛り上がり後半ではレネー・アーマンド、リー・モンゴメリーらのコーラスをフィーチャー。