hair#2

■Brown Hair Growin' / Tango
長年音楽を聞いてると精通してくるジャンルってある。僕の場合ウエスト・コーストのカントリー・ロック〜ポップ・ロックだったりするのだけど、これだけ情報があふれバイヤーズ・ガイドのような本も出回っているのに、メジャー・レーベルから出たのにかかわらず、素晴らしい出来の割りにほとんど語られることのないアルバムというのも存在する。
タンゴ(Tango)というバンドをご存知か?72年にA&Mから1枚「Tango」を出して消えた4人組で、日本盤でCDが出たことはあるが、A&Mの発売権がポニー・キャニオンにあった頃で、権利関係の移行時期にあたりどさくさにまぎれて大量にCD化されたが、ライナーもなかったので、バンドの素性は今もってわからない。メンバーはマーク・ゲレロ(vo,g)、ジョン・ヴァレンズエラ(g)、リチャード・ローサス(b)、アーニー・ヘルナンデス(ds)の4人で名前の通りスパニッシュ系。レコーディングはLAなので、憶測ながらエル・チカーノのように東LAの出身なのかも*1。昨日はアメリカのことを書いたが、タンゴの音はCSN&Yのフォロワーながら、アメリカ並みのポップセンスがあり、おまけにヴァラエティに富んでいる。例えば"Rock & Roll Queen"、"He's An Artist"でのロックンロールは、初期のイーグルスが得意とする、ラフなアップナンバーを思い出すし、スニーキー・ピートの緩やかなsteelの入った"Wild Night At The Old Rest Home"やジョン・ハートフォードのbanjoをフィーチャーした"Greenback Blues"は、やはりカントリー・ロックの範疇に入るものだ。かと思うとmellotronの入ったバラードの"I'm A Human"は、そのメロディーの美しさに驚く。
"Brown Hair Growin'"もまたメロディアスなポップ・ロックで72年ではまだ早すぎたなあ、とも思う。これがあと3年遅くてシングルカットされていたら状況も変わってたろうに!
この1枚で解散するが、ローサスはリック・"ザ・ベース・プレイヤー"・ローサスとして80'sにジョー・ウォルシュのバンドに参加。その後dsのチャド・クロムウエルと共にリズムセクションごと、ニール・ヤングに「貸し出される」ことになる。

*1:ゲレロはなんとHPがあって、そこではやはり東LAの出身("Born In The East LA"ね)の出身だった。バンド解散後オード、キャピトルにソロがあるとか