●Dreamin' My Dreams / Marianne Faithfull

Dreamin' My Dreams
言うまでもなくマリアンヌ・フェイスフルという人は、60'sの半ばを代表するイギリスの女性シンガーで、ミック・ジャガーの愛人(マリアンヌは既婚者だった)であり、英デッカとprod'erのアンドリュー・ルーグ・オールダムが強力にプッシュする秘密兵器だった。が、一連のドラッグ事件とスキャンダルで、シーンから一時消え、ヘロイン中毒治療に時間を費やすこととなる。
76年にNemsから出た「Dreamin' My Dreams」は、ヘンリー・マックロウ(g)、アラン・スペナー(b)、ブルース・ローランド(ds)、ニール・ハバード(g)のグリース・バンドをバックにした、「英国版エミルー・ハリス」の線を狙ったカントリー・アルバムという事で食指が動いたが、僕の好みとは遠く離れる出来で残念。オリジナルに忠実な復刻で知られるエア・メール・レコーディングスによる紙ジャケ化だが、なんかイージーな作りだしホントか?
オリジナルは12曲で、ジェシ・コルターのカヴァー"I'm Not Lisa"、チャック・ベリーの"Sweet Little Sixteen"、ジャッキー・デ・シャノンの"Vanilla O'Lay"以外は知らない曲。英国でのエミルー・ハリス人気は確かにすごいもので、狙った線はいいが、グリース・バンドらしくない匿名的な演奏(それっぽいのは"Wrong Road Again"くらい)もマイナス。"The Way You Want Me To Be"と"I'm"Looking For Blue Eyesがまあまあか。
但しタイトル曲がアイルランドで7週連続#1となった関係で78年には一部差し替えて「Faithless」のタイトルで再リリースしたが、加えられた4曲がボーナスとして入っている。ディランの"I'll Be Your Baby Tonight"のダルな感じも良いが、グリース・バンドとしても2枚目の「Amazing Grease」でカヴァーした"Honky Tonk Angel"(ロッド・スチュワートが"The Other Side Of Life"のタイトルでも取り上げている、カントリーの古い曲)がいい。