女性名#3


■Jenny Lynn / Tom Rush
昨秋ソニーからどっとCD化された際に漏れてしまったトム・ラッシュの74年の「Ladies Love Outlaws」は、さながら当時の新進sswのショーケース的なもので、新人発掘に定評があるラッシュらしい出来ばえだった。リー・クレイトンとウェイン・ベリーを各2曲、ガイ・クラーク、リチャード・ディーン、ブルース・コバーン、マイケル・スミスを1曲ずつ取り上げている。
クラーク、ベリー、クレイトンそしてコバーンは後にデビューを果たしたが"Jenny Lynn"の作者、リチャード・ディーンはよくわからない。このアルバムは基本的にNY録音で、エリオット・ランドール(g)、ボブ・バビット(b)、アラン・シュウォーツバーグ(ds)、リオン・ペンダーヴィス(kb)、ジェフ・ミラノヴ(g)、ジェフ・バクスター(g)が参加しているが、エンジニアにロジャー・ニコルスの名前があることから、バクスターの部分はLAで追加したような気もする。この曲はバクスターのsteelが入った軽快なカントリー風のナンバー。ジェームズ・テイラーがコーラスをつけているがJTの参加はさほど効果的でない。(むしろ当時の夫人、カーリー・サイモンがラッシュの60'sの作品、"No Regrets"の再演で印象的な仕事をしている)クレイトン作の"Claim On Me"やベリー作の"Indian Woman From Wichita"では、ルパート・ホルムズのストリングスが色濃く特に前者はソウルっぽいフィーリングをうまく出している。ベストトラックは、スミス作の"Hobo's Mandolin"かな。