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I Put a Spell on You
■I Put A Spell On You / Alan Price Set
ジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は、80年代には、それこそ至る所で、上映、再映されていました。まさにあの頃を代表するアート系の映画ですが、主題歌として使われた、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスの"I Put A Spell On You"もまた映画効果で、クローズ・アップされました。ホーキンスのこの曲は57年にリリースされたノヴェルティー・タイプのR&Bですが、Scremin'というステージネームから想像できるように(思えばスクリーミング・ロード・サッチも似たような感じでしたが)、左手にヘンリーという名前の髑髏を掲げ、雷鳴とともに棺桶の中から登場するというフリークショー的な演出で物議をかもしだしました。ルーツとなっているのがヴードゥー・ミュージック、怪しげなムードのニュー・オーリンズ産R&Bでしょう。

映画のヒットと共にホーキンスも復活し、来日公演を行うほどになりました。その生涯を描いた映画「スクリーミン・ジェイ・ホーキンス伝説〜I Put A Spell On Me」というドキュメンタリーも公開されています。

60'sに入ると、イギリスのアラン・プライスがアラン・プライス・セット名義で、カヴァーしてヒットを飛ばしました。66年のことです。荘厳な教会オルガンをバックにしたバロック調のarrで、僕はこれを先に知ったので*1、ごった煮の様なオリジナルを聞いてずいぶん驚きました。

プライスは、アニマルズのオリジナルkb奏者で65年に脱退後、アラン・プライス・セットを結成します。どちらかというとロックよりもジャズ・ロック〜それもマンフレッド・マン、ブライアン・ベネットあたりのモッドジャズと言われる音楽〜に近いですし、ランディー・ニューマンの"Simon Smith & Amazing Dancing Bear"のカヴァー*2、ユーモラスな"Don't Stop The Carnival"のヒットなど、後にプライス&フェイムとして共演することになるジョージー・フェイムにも似た音楽性を持っていました。70'sに入ると映画畑で音楽、出演もこなすようになり「オー・ラッキーマン」は未見ですが、代表作らしいです。


忘れてはいけないのがCCRのデビュー作に入っていたものでしょう。CCRに関してはベスト盤の弊害でいまだちゃんと聞いてはいないのですが、ウッドストックの音源を集めた4枚組ボックスにも収録されています。
Ccr

*1:NHK-FMの「クロスオーバー・イレブン」の「ヒストリー・オブ・ブリティッシュ・ロック」でした

*2:矢野顕子のカヴァーもありました