morning#2

THE GREASE BAND & AMAZING

THE GREASE BAND & AMAZING

70■New Morning / Grease Band
ジョー・コッカーのバック・バンドとしてスタートしたグリース・バンドは、現在ではUKスワンプなる便利な言葉があるのですが、昔はブルーズ・ロックにも、ハード・ロックにもジャンル分けできない説明しにくい音でした(ストーン・ザ・クロウズ、ジューシー・ルーシーなんかもそう)。最初期のグリース・バンドにはクリス・ステイントン(当時はb)以外は、コッカーの地元、シェフィールドのローカル・バンドのメンバーでしたが、トミー・アイアー(kb〜後にリフ・ラフ他)、ヘンリー・マックロウ(g)が加わったのは68年で、アイアーが抜け、ブルース・ローランド(ds)、アラン・スペナー(b)が加わったのが69年。
On Air

On Air

このメンツでコッカーのウッドストックのステージでバックを務めます。コッカー抜きの4人で「Jesus Christ Superstar」のロンドン・キャスト(イアン・ギラン、マレイ・ヘッド、イヴォンヌ・エリマン)に参加しましたが、ステイントンがコッカーの新しいプロジェクト、「Mad Dogs & English Men」に参加の為抜けると、ジューシー・ルーシーのニール・ハバード(g)を加え、70年にHarvestから「The Grease Band」をリリースします。今では手軽に聞けますが、80'sに独Lineから再発されるまでかなりのレア盤でした。米盤はリオン・ラッセルのShelterから出たという事もこのアルバムの価値を高めているようにも感じます。いわゆる英国のスワンプのスタートとも言える1枚で、ザ・バンドの影が濃厚なアルバムです。ステイントンは契約の関係で名前が出せずに、フィル・プロンクという名前でゲスト参加しています。
Grease Band BBC Session

Grease Band BBC Session

ただこの1枚で解散。スペナー=ハバードはココモ、ローランドはギャラガー&ライル、フェアポート・コンヴェンションへ、マックロウはウィングスへ参加します。もちろんそれ以外にもセッションは数知れず、どういう理由でか、75年にGoodearから再編グリース・バンドとして「Amazing Grease」をリリースします。

ミック・ウィーヴァー(kb)、テリー・スタナード(ds〜ココモ)、メル・コリンズ(sax)がゲストで加わったこのアルバムは、前作以上にとりとめのないセッションという感じですが、ロッド・スチュワートもとりあげたカントリー・クラシックの"Honky Tonk Angel"(そういえばこの曲を取り上げたマリアンヌ・フェイスフルのバックを務めたこともありました)、ディランの"New Morning"の2曲のカヴァーが飛びぬけて素晴らしいです。
数多くの疑似ザ・バンドが英国でも存在していた75年ごろ真打ちはさすがに違うと思わせる"New Morning"での、ザ・バンドぶりが素晴らしいです。voはスぺナーで、途中のマックロウとのやり取りがまたカッコイイ。スワンプであり、パブ・ロックである名演です。オリジナルはディランの70年作のタイトル曲です。
New Morning

New Morning


これは初めて見た。トム・ジョーンズ・ショーにおけるコッカー&ジョーンズの"Delta Lady"(with グリース・バンド)

マックロウが歌う"Honky Tink Angel"(=Wild Side Of Life)