after#3

呪われた夜

呪われた夜

73■After The Thrill Is Gone / The Eagles
イーグルスの4枚目「One Of These Nights」('75)は、バーニー・レドンの参加した最後の作品となりました。前作「On The Border」ではレコーディング中にプロデューサーの交代があって、初期の靄がかかったようなサウンドを作り出したグリン・ジョンズから、J・ガイルズを手がけたビル・シムジクに代わっています。シムジクが手掛けたいくつかの曲はそれまでのイーグルスの印象を大きく変えるハードエッジなロックンロール(程度問題ですが)だったり、ソウル風のコーラスを導入したものでした。その路線を推し進めていったのがこの「One Of These Nights」(とりわけタイトル曲)ですが、全編これというわけではないです。むしろ悪あがきというかレドンがイニシアティヴをとった2曲は完全に浮いています*1し、大ヒットした"Lyin' Eyes"のトロピカルなフルーティーな感じは、むしろシムジクっぽくはないです。
さてグレン・フライドン・ヘンリーのダブルvoによる"After The Thrill Is Gone"は、リリース時点ですでに懐かしさすら感じさせるイーグルス節で、哀愁と呼ぶにはみずみずしいメロディーが印象的です。遠くで聞こえるpedal steelやうねりを持ったgなど、ドン・フェルダーがいいフレーズを弾きます。
傑作と呼ぶには、いささかバラバラなところがありますが、このアルバムやはり忘れられない1枚ではあります。

*1:ブルーグラス+オーケストラのインスト"Journey Of Sorcerer"は壮大な失敗作だと思いますし、後の大統領ロナルド・レーガンの娘、パティ・デイヴィスとバーニーが共作したスタンダード風バラード"I Wish You Peace"もらしくありません。ちなみにドン・ヘンリーはこの曲が嫌いで、"I Wish You Pee"と言っていたとか