dead#2

フェイス・トゥ・フェイス(紙ジャケット仕様)

フェイス・トゥ・フェイス(紙ジャケット仕様)

76■Dead End Street / The Kinks
キンクスに夢中になってたのはPye時代の音源が一挙LPで再発になった80's半ばです。SMSという今は無きレコード会社は、ライセンスでPye時代のキンクスの発売権を取り、全作品を再発した(リリース時はテイチク〜日本コロムビアだった為、長い間廃盤で殊の外ありがたかった)他、シングル音源を使ったオリジナルのコンピレーションも編んだのですが、「シングルス」というA面ばかり集めた2枚組は重宝しました。シングルだけの曲も多く、キンキーなビートものから次第にイギリス的としか表現できない、トラジコミック(悲喜劇)型、ヴォードヴィル調のサウンドへ変わってゆくさまが手に取るように分かります。しばらくしてPye音源は英PRT(今のCastle Communications)が管理するようになったのですが、ここからノンLPの曲を集めた「Kinks Are Well Respected Men」というものも出てこちらにもずいぶん世話になりました。

さて66年の4枚目「Face To Face」あたりでストレートなビート路線から、フォーキーな路線にシフトチェンジを始めています。もちろんビート曲はありますが、ここからヒットした"Sunny Afternoon"が何ともシニカルな(午後のお昼寝以外は全部税務署に持っていかれた…とか)歌詞のミディアム・テンポのナンバーで、明らかにそれまでとは違います。その"Sunny Afternoon"に続くシングルが、この"Dead End Street"でヴォードヴィル調というかキャヴァレー路線というか、RCA時代に通じる音です。歌詞とクリップは直接関係ないのかもしれませんが、物悲しいフレンチ・ホルンの調べも印象的です。

キンクスの初来日は80年で、ちょうどレイ・デイヴィスと交際していたクリッシー・ハインドのプリテンダーズの来日に合わせたと記憶していますが、1日限りのステージだったと思います。ビート・バンドというよりはフットワークの軽いハードロック・バンドといった印象でした。実際に見る事が出来たのは、80's半ばの2度目の来日ですが、すでにキンクスのファンは日本でも十分育っていて、有名曲でない"Dedicated Followers Of Fashion"の大合唱は今でも耳に残っています。