米都市#2

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88■Lady Came From Baltimore / Tim Hardin
正直ティム・ハーディンって好きなのか、そうでないのかよくわからないのです。僕がその名前を初めて聞いたのは、80年に「Bird On A Wire」が再発された時*1ですが、いろいろな人に取り上げられたと紹介された"If I Were A Carpenter"すら聞いたことなかったのです。代表曲を収めたVerve時代の音源は長らく入手困難だったのですが、CDの時代になって楽に聞けるようになりました。
バード・オン・ア・ワイヤー(紙ジャケット仕様)

バード・オン・ア・ワイヤー(紙ジャケット仕様)

「Tim Hardin2」('67)はVerve Forecastからリリースされた、セカンドで、ボビー・ダーリンが取り上げヒットさせた、"If I Were A Carpenter"と"Lady Came From Baltimore"の作者ヴァージョンを収録しています。その"If I〜"は、次の"Red Balloon"(スモール・フェイシズが「Autumn Stone」で取り上げています)と似た雰囲気のナンバーでアコースティックな手触りながらメロディーに泣きがあります。
"Lady Came From Baltimore"は愛妻スーザンの事を歌った歌で、シンプルなフォークロックです。実際のところスーザンは、歌詞で歌われるスーザン・ムーアではなくモース姓であり、出身もメリーランド州ボルティモアではなく、ニュー・ジャージーのバーモントという町だったそうですが、この歌詞に合わせムーア姓を名乗っています(それも何か無茶苦茶な話ですが)。
このVerve時代のハーディンの作品は、当時一部を除いては、日本では紹介されず、70年にCBSに移籍した「Suite For Susan Moore And Damion」という愛妻と息子に捧げた非常に私小説色の濃い内容の作品が、久しぶりだったとの事。次が件の「Bird」で、この中でスーザンとの別れが歌われています。そしてそれがきっかけとなったドラッグやアルコールの強度の依存の為に80年に亡くなっています。基本的にはフォーク寄りのsswなんですが、ジャズ・ミュージシャンを起用した作品が高い評価を受けたりして、なんとなくとっつきにくい印象もあります。この「2」は長くて2分台の曲が多く、30分足らずであっという間に終わってしまいますが、vibeの入った"Tribute To Hank Williams"など不思議なムードの作品も多いです。

ボルティモアは、アメリ東海岸メリーランド州最大の都市です。メリーランドはアメリカ最古の州の一つだそうです。連想するのは大リーグのボルティモア・オリオールズとバリー・レヴィンソン監督の映画「わが心のボルティモア」です。

ちなみにバッド・テイストな作風で知られるジョン・ウォーターズ監督もボルティモア出身。そういえば日本では紹介されていないけど、グランジ的な味わいを持った70's初期のヘヴィ・ロック・バンドにサー・ロード・ボルティモアというのもありました。
Kingdom Come & Lord Baltimore

Kingdom Come & Lord Baltimore

*1:イッツ・ア・ビューティフル・ロック・デイ・シリーズとしてトニー・コジネクやジョン・マにングなんかと一緒に出ました