米都市#8

Warhorse

Warhorse

94■St. Louis / Warhorse
バンドを辞めたメンバーの次のバンドの音楽が前バンドに似るというのはよくあるパターンですが、そのメンバーがさほど前バンドの音楽性に影響力がなく、しかも友好的な脱退ではなかった場合、その相似の裏にあるものをいろいろ勘ぐってしまいますね。第1期パープルのロッド・エヴァンスとニック・シンパ−の脱退の理由は、「バンドの音楽と目指している方向が違った」という事ですが、これは辞める個人の意見ならともかく、バンド側から出ると都合のいい解雇という事になります。実際エヴァンスの場合はバラード・シンガーだったこともあり、ハードな曲をやりたかったパープルには不向きだったようですが、シンパーに関しては明確な理由もなかったため裁判沙汰になりました。ともかくシンパーは70年にウォーホースという新バンドを結成してVertigoからデビューします。
このウォーホースのファーストはキーフのジャケットが有名なものですが、第1期のパープルというよりは第2期の音楽に近くて思わずニヤリです。voのアシュレー・ホルトをイアン・ギランと比べると、少し酷なのですが、シャウトするスタイルと言い、エヴァンスよりはギラン的です。ヴェルヴェット・フォッグのフランク・ウィルソン(org)、ゲド・ペック(g)のスタイルはジョン・ロードリッチー・ブラックモア的で、この辺はシンパーの怨念とも取れてしまいます。
シングル・カットされた"St.Louis"は、オーストラリアのイージー・ビーツのレパートリーで、作者のハリー・ヴァンダ&ジョージ・ヤングがAC/DCの結成に一役買ったという話は、去年のレココレのAC/DC特集で知りました。

これのパープル・ヴァージョンを聞いてみたいものです。ウォーホースは71年にもう1枚「Red Sea」を出して解散しますが、このジャケットを見るとパープルへの怨念未だ晴れずといった感じで、なんとなく「Fireball」を思い出します。
Red Sea

Red Sea

セント・ルイスはイリノイ州との境にあるミズーリ州都市ですが、ミズーリには、カンザス州境にカンザス・シティがあってこっちの方が大きい街です。ここはカンザスとまたがっており、カンザス側のカンザス・シティがメインと思いきや、実はミズーリの方がメインだそうです。