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シルヴァー・ファースト

シルヴァー・ファースト

111■Right On Time / Silver
シルヴァーが登場した時には、フールズ・ゴールドと並んでウエスト・コースト・ロック新世代とよく言われました。イーグルスやドゥービーの第2世代を聴いて影響を受けた連中が、こぞってデビューしたのは76年〜77年ですが、ポップス色が濃く、当時の僕でも、深みが足らないなんて思ったものでした。
シルヴァーは、AsylumのLPを残しているバドーフ&ロドニーの片割れ、ジョン・バドーフ(vo,g)がイーグルスのバーニー・レドンの弟、トム(vo,b)、グレッグ・コリアー(vo,g)、ハリー・スティントン(ds〜後にショット・イン・ザ・ダーク)、ブレント・ミドランド(vo,kb)と結成した5人組で、Aristaから76年にデビュー。さわやかなコーラスで人気を集めましたが、シングル・カットされた"Wham Bam"("恋のバンシャラガン"という邦題でした)があまりにポップスで、ちょっと拍子抜けした覚えです。バドーフとコリアー、ミッドランドは曲を書いていますが、スティーヴ・ファーガソン*1やリック・ジャイルズ、サンディー・リフソンら、他人の曲を入れているのは、マネージメント及びAristaの介入でしょう。メロディーよりもため息が出るようなコーラスワークの方が目立ってしまうのですが、もう少しスパイスが効いていれば、なおよかったとも思います。
76年という時代柄、カントリー・ロック的な意匠は意識的に排除され、都会的なポップスという路線のarrがされていますが、彼らのルーツにはやはりカントリー・ロックがあったのでしょう。"Right On Time"ではそれが見え隠れします。
冒頭にバラードの"Musician"(ミュージシャン、そいつは楽な生き方ではない〜と歌うミドランドも後にグレイトフル・デッドで活躍しながらドラッグ問題で命を失ってしまいました)を配した大胆な構成もわるくありません。プロデュースは、トム・セラーズ(元ガリヴァーで俳優)とシルヴァーが担当しています。

*1:Asylumには珍しい黒人ssw。唯一のLPは相当なレア盤ですが、それほどいいとは思いません