devil#3

Kiss N Tell: 30 Works of Heart

Kiss N Tell: 30 Works of Heart

118■Devil In His Heart / The Donays
たった1枚しか残せなかったシングルが、ヒットしたわけではないけど永遠に心に残ることだってこの世界ではわりにある事です。61年にBrentというマイナー・レーベルからリリースされた"Devil In His Heart"は、デトロイト周辺のガール・グループ、ドネイズにとって唯一のシングルとなりました。イヴォンヌ・アレン(vo)をフィーチャーした実態のないグループだったようで、演奏はMotownのハウスバンドだった、ファンク・ブラザーズが担当しています。ヒットすらしなかったこの曲を、どういう経緯でかビートルズがセカンドで取り上げて一躍知られるようになりました("Devil In Her Heart"として)。
イヴォンヌは後にエルジンズのvoになるなどの活動はありましたが、ガール・グループ、ガール・シンガーの歴史の中では無名に等しい存在です。
僕は恥ずかしながら、ビートルズよりもこちらを先に聞いてしまったので、衝撃は少ないですが、いい曲です。確か山下達郎が放送で紹介したのを聞いてから、英Aceからリリースされたコンピ「Kiss'N'Tell」('92)を買った覚えです。このコンピには僕をこの道に引きずり込んだ、イギリスのガールサウンド研究家のミック・パトリックがライナーを書いていて、当時英Impactから出た「Girl About Town」あたりとも曲がダブったりしますが、黒人、白人問わず割と脈絡なく30曲を収録しています。有名なものはありませんがシレルズ、キャンディ&ザ・キッシズ、トイズの後年発掘された未発表曲や、ル・ガールズ、レパラータ抜きのデルロンズ、バーナーデット・キャロルなどのLaurie音源も含んでいます。