■■■1Q84・Book1/Book2:村上春樹(新潮社)

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

7年ぶりの新作で、スニーク・プリヴューな戦法でベストセラーを記録しています。今回何の予備知識にもなしに読み始めると、随分新鮮に感じます。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思わせる章ごとに語り手が変わる手法、「ねじ巻き鳥クロニクル」の笠原メイを思い出すふかえり(深津絵里よりもふせえりを思い出してしまう語感)、「アンダーグランド」で扱ったカルト教団を思わせる「さきがけ」「あけぼの」の描写、「ねじ巻き」で出てくる牛河の再登場など、過去の村上作品を読んでる人ならニヤリの連続でしょう。ミステリの様に合理的な解決を望まれる方は、曖昧模糊としたエンディングに不満でしょうが、それがブンガクとエンタメを分けるような境の気もします。ラスト1/5で失速するさまも「ねじ巻き鳥」(僕は第3部なんていらないと思ってます)と同じ感想です。謎・謎と皆さん騒ぎすぎ。村上春樹って昔からこうですよ。