moment#3

モチヴェイション・ラジオ(紙ジャケット仕様)

モチヴェイション・ラジオ(紙ジャケット仕様)

213■Wait One Moment / Steve Hillage
ティーヴ・ヒレッジの3枚目「Motivation Radio」('77)は、マルコム・セシルのプロデュースで完成しました。セシルはスティーヴィー・ワンダーの「Talking Book」('72)など4作、ワンダーがプロデュースしたミニー・リパートンのアルバムでのエンジニアなどからてっきり黒人だと思っていたのですが、実はイギリス人で、50'sから英国ジャズシーンで活動するbassistです。71年にロバート・マーゴレフと組んだTONTOズ・イクスパンディング・ヘッドバンドで知られるようになったとか。とwikiの受け売りですが、要するに早すぎた音響派テクノみたいなものです。セシルはsynthe

これが71年というのはすごいかも。タンジェリン・ドリーム的でもあります。
さてゴング脱退後最初のソロ「Fish Rising」('75)では、カンタベリー的な世界をカンタベリー・オール・スターズで再現。これで吹っ切れたのか、ユートピアをバックにトッド・ラングレンと作り上げた「L」('76)では、いわゆるプログレの枠から離れたギター・サウンドを聞かせるようになりました。日本では日本コロムビアからビクターにVirginの発売権が移った頃に出た「Motivation Radio」ではある種テクノ〜ニュー・ウェイヴ的な音作りともなった1枚です。まあ基本線は変わらないのですが、gのフレーズに凝りすぎたいわゆるギタリストのアルバムです。ジョー・ブロッカー(ds)、レジー・マクブライド(b)、セシル(syn)にヒレッジ(g)、ミケット・ジルディ(syn)というのがこのアルバムの参加メンバーで、プログレ・ファンクという反語的な表現が似合う*1躍動的な音楽になっています。そんななかB面の頭に無造作に置かれたような"Wait One Moment"はメロディアスなgのシンプルなフレーズが印象的な小品です。

*1:プログレとは黒人音楽からの影響が少ない白人のロックというのが定義なので