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■Those Shoes / The Eagles
結果論から言うとイーグルスの「The Long Run」('79)は、作られるべきでなかったという論調が、90's以降イーグルスファンの間では主流というか、あえてこのアルバムには触れないようにしていた…というのがありました。が、時が過ぎ更に「触れないようにする」アルバムが出てしまった今、僕としては「The Long Run」を愛すべき1枚としてカウントしています。
ダークなジャケットのトーンからして重さを、「Hotel California」の大成功の後かかる巨大なプレッシャーを感じさせます。この3年間、苦しみながらレコーディングを続ける一方、野球ばかりやってる*1姿が報道されていました。実際レコーディング時にメンバー間が険悪になる場面も多かったといいますし、何しろいい曲が出来なかった(アウトテイクなどが一切漏れてこないというのは、レコーディングの難行苦行を表しています)というのが痛いです。出来上がった「The Long Run」はシングルになった"Heartache Tonight"、"I Can't Tell You Why"、そしてタイトル曲や"Sad Cafe"は飛びぬけていますが、"The Disco Strangler"、"The Greeks Don't Want No Freaks"は明らかにお遊び風で、これが2枚組なら生きてくるようなナンバーです。
それでも"Those Shoes"、"Teenage Jail"といった一流半的なナンバーも味わいはあって、こういう曲があと二つくらいあればもっと締まったとも思います。ジョー・ウォルシュドン・フェルダーの2本のgが絡む"Those Shoes"は、2本のトーク・ボックス(トーキング・モデレーター)が絡むヘヴィなナンバーでヘンリーのvoもいい感じです。歌詞に出てくるshoesとはシャルル・ジョルダンの靴を差し、その靴を履けるまで成熟した大人の女性をさしていますが、歌詞は相変わらず辛辣で、"Lyin' Eyes"に近いものもあります。

*1:よく雑誌のグラビアをこういうショットが飾っていました