ラヴ・ハズ・ノー・プライド

エリック・カズとリビー・タイタスが書いた"Love Has No Pride"は、別にシングルになったわけでもないですが、70'sから現在まで歌い継がれています。
詩を書いたリビー・タイタスは、幻のファーストとして68年にHot Biscuit Discというレーベルからソロを出していますが、こちらには未収録。77年にCBSから出たセカンドは、ロビー・ロバートソン、フィル・ラモーンカーリー・サイモン("Libby"という彼女に捧げた曲もあります)らがprodした1枚で、結構な人気盤ですが僕としてはそれほど好きな1枚ではないですね… ここで作者ヴァージョンが聞けます。ちなみに現在ドナルド・フェイゲン夫人です。

曲を作ったエリック・カズはAtlanticに残した2枚のソロでは、歌っていません。お世辞にもうまいとは言えない訥々とした歌い方の人ですが、相当シャイらしく、76年に結成したアメリカン・フライヤーのファーストでも、取り上げてはいるのですが相方のクレイグ・フラーに歌わせています。
American Flyer: Spirit of a Woman

American Flyer: Spirit of a Woman


さて、この曲の名を知らしめたのはリンダ・ロンシュタットが「Don't Cry Now」('73)でとりあげたヴァージョンでしょうか。まだまだカントリー・シンガーの域を出なかった頃で、Asylum第1弾となったそのアルバムは、当時の恋人、ジョン・デイヴィッド・サウザーがprodしています。
Don't Cry Now (Coll) (Omr)

Don't Cry Now (Coll) (Omr)


リンダよりも先にこの曲を取り上げたのが、ボニー・レイットでベアズヴィル録音の「Give It Up」('72)でやっています。フォークっぽいarrと初々しい歌唱が結構この曲にあっていて、僕としては情感溢れすぎのリンダ・ヴァージョンよりも好み。このセッションにカズが参加してる事から、この曲はこのセッションで生まれたのではないでしょうか? リビーもウッドストッカーですし。
Give It Up

Give It Up


カズ作品を一番数多く取り上げた事で知られるトレイシー・ネルソンもマザー・アース解散後のソロ「Tracy Nelson」('74)でやっています。これはディラン、ビル・ウィザースなどのカヴァーも入った傑作で日本盤CDは廃盤になって久しいです。犬ジャケとしても一部で人気の高い1枚です。
トレイシー・ネルソン

トレイシー・ネルソン

先日めでたくCD化されたリタ・クーリッジの「Fall Into Spring」('75)でも取り上げられています。この頃になってくるとトレンドという感じです。猫ジャケで有名なこれは、その次と同じく何故かCD化されなかったものですが、楽曲の充実ぶりと裏腹にテンションが下がっていて僕としては、納得がいかない1枚というか、この辺が僕とリタ・クーリッジの距離感というか、そんな感じです。

未聴ですが、ポール・ヤングの「The Crossing」('90)
THE CROSSING

THE CROSSING

ビリー・ブラッグの「Workers Playtime」('88)のボーナス・トラックに
Workers Playtime

Workers Playtime

もこの曲のカヴァーは収められています。