boy#3

イット・オール・カムズ・バック+1(K2HD/紙ジャケット仕様)

イット・オール・カムズ・バック+1(K2HD/紙ジャケット仕様)

10052■Poor Boy / Paul Butterfield's Better Days
73年に出たベター・デイズのセカンド「It All Comes Back」(Bearsville)は当時日本盤でリリースされず、80'sには幻の名盤として結構な値段で取引されていました。90'sに入ってRhinoがBearsvilleのライセンスを取得して再発してからは、手軽に入手できるようになりましたが、僕がこのセカンドを初めて耳にしたのはパイド・パイパー・ハウスに限定入荷したカナダ盤ミュージック・テープ(カセット)だったのです(80's半ば)。印象的だったファーストのジャケットに比べるとなんか手抜きっぽいこのセカンドは、そのカヴァーと裏腹になかなか力が入った内容です。バタフィールド、ジェフ・マルダー、ロニー・バロンという3人の個性豊かなvoを配するだけでなく、エイモス・ギャレットの必殺のg職人をフィーチャーしているだけに、ニュー・オーリンズもの、正調ホワイト・ブルーズ、ザ・バンド的なグルーヴをもったもの、ファンキーなやつといろいろなパターンが楽しめます。注目すべきは前日訃報が伝えられたボビー・チャールズの存在で共作を含め、半数の4曲に曲作りに参加しています。アメリカン・ルーツ・ロックの一つの完成形でしょうね。
さて前述の通り、リック・ダンコ、ボビー・チャールズの名称で知られる"Small Town Talk"、バロンが歌うニュー・オーリンズ・グルーヴの"Louisiana Flood"(ボビー・ホール・ポーターのpercも聞かれます)、バタフィールド・ブルーズ・バンド時代を思わせる"Too Many Drivers"、バロンのclavinetがファンキーで、チャールズとバターフィールドがvoを分けあう"Take Your Pleasure Where You Find It"といった名曲が目白押しですが、古いブルーズをマルダーがarrした、"Poor Boy"も捨てがたい魅力があります。モーズ・アリソンの"If You Leave"をカヴァーしたものもそうですが、ブルーズに関して学究肌のマルダーと感覚的なバターフィールドはやはり、目指す方向が違ったのかなあ、と少し考えてしまいます。