10036★★★ジュリア('77米)

監督;フレッド・ジンネマン
主演:ヴァネッサ・レッドグレイヴジェーン・フォンダ、ジェイソン・ロバーズ
ミステリ作家、ダシール・ハメット(「マルタの鷹」)と共同生活を送っていた(籍は入れてない)作家リリアン・ヘルマン(「子供たちの時間」は「噂の二人」として映画化〜レズビアンを匂わせたハリウッド・メジャー初期の作品)の原作を映画化したもの。第二次大戦前の政治的に揺れ動くヨーロッパ(パリ、ウィーン、モスクワ)を舞台にした、女性二人の友情物語。とはいってもジュリア(レッドグレイヴ)が出てくるのは、主に回想シーン。
ミステリ的な部分を盛り込んではいますが、あくまでも堂々とした文芸作品で、一気に見せる演出はさすが、ジンネマン。レッドグレイヴは、本作でオスカーを取っているが、フォンダ、ハメットを演じたジェイソン・ロバーズ、マクシミリアン・シェルなど皆いい。またメリル・ストリープのデビュー作でもある(イヤな女役)。レジスタンスの為の軍資金を運ぶ事になった、フォンダの列車のシーンは、実にサスペンスフル。コンパートメントで同室の2人の女性は、敵か味方か!(結局味方だったようだ)その後ベルリンのカフェでの邂逅のシーンには、思わず涙する。
(例えば、思い出すのは「シャーロック・ホームズの帰還」で、死んだと思われたホームズが、ワトスン博士の前に姿を現すシーンとか)「アルザスのパン屋」に預けた赤ん坊、検死医の住所が架空だったり、最初病院に運び込まれた「ジュリア」が別人だったり(おそらく、リリアン(フォンダ)を試したのだろう)とミステリ的な興味は尽きません。

Julia、20th Century Fox、1h59