■Play Me Out / Glenn Hughes

Play Me Out

Play Me Out

トラピーズからディープ・パープルに加わったグレン・ヒューズは歌える(歌いたい)bassistでした。3期パープルでデイヴィッド・カヴァーデイルがブルージーな持ち味だったのに対し、ヒューズの場合はファンクというのがキーワードで、それに触発されたジョン・ロードがこの時期ファンキー・ミュージックの代名詞だったclavinetを多用するという事も起きました。4期パープルはヒューズ無しではありえないファンキーなハードロックです。末期パープルではメンバー間でトラブルがあり、ヒューズのバンドに対する言動や行動など問題があった様で、解散後しばらくはパープル関係者から離れ、古巣のトラピーズの再結成に加わっていましたが77年にパープル関係の新しいレーベル、Safariからリリースされたのがこの「Play Me Out」です。ヒューズはvo,b,g,kbとマルチプレイヤーぶりを発揮し、トラピーズのメル・ギャリー(g)、デイヴ・ホランド(ds)、テリー・ロウリー(kb)、カナダ人ハードロッカー、パット・トラヴァース(g)、イアン・ギラン・バンドのマーク・ナウシーフ(perc)、バックドアのロン・アスプレー(horn)が参加しています。日本の音楽雑誌もこれをハードロックとして紹介するのはさすがに難しかったらしく(日本では依然としてパープル人気はすごかった)、「Musc Life」誌のレヴューでは音楽に一切触れない、という禁じ手を使いました。それほどいわゆるハードロックから離れたファンク・ロックなのですが、ファンクファンが聞けば、これはもうハードロックなんでしょうねえ…
チョッパーのイントロから泣きのバラ―ドとなる"It's About Time"、ライザ・ストライク以下の女性コーラスが匿名的なムードを盛り上げる"Soulution"、粘っこいvoが印象的な"I Got It Covered"などが光ります。但しSafariと言うレーベルのプロモーションも当てにならず(英国盤よりも先にドイツ盤がリリースされてます)、セールス的にはパッとしませんでした。ヒューズはその後LAに移住。アル・クーパーらとディスコっぽいセッション作「Four On The Floor」(Casablanca)を出したり、元Goのパット・スロールとのヒューズ=スロールでハードロックに復帰したり、果ては映画「フェノミナ」のサウンドトラックでハイトーンのvoを聞かせたり、ブラック・サバスに加わったりと色々な活動をしています。近年ではHM系の活動が多いようですが。


こういうパープルのナンバーをやってます。スウェーデン、オーストラリア、アルゼンチンといったロック辺境の地でのライヴが多いのも面白い。