白バイ隊の機械体操風ピラミッド

Rock on

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■Rock On:Humble Pie
ハンブル・パイというとスティーヴ・マリオットのブラック〜ゴスペル志向が鼻につく感じもあって、それほど熱心に聞いた覚えはないのです。名盤とされる「Smokin'」なんかスティルスが参加してたなんて意外性もあるのですけど、どうもピンと来なかったのです。
よく言われるようにピーター・フランプトンとマリオットの個性のぶつかり合いが初期のパイの持ち味です。A&Mに移って2枚目に当たる71年の「Rock On」は、警官の白バイ隊のピラミッドのジャケットで、ちょっと意味不明。冒頭の"Shine On"は後にフランプトンの「Comes Alive」でも聞けますが、ポップなメロディーが印象的。後期スモール・フェイシズ的な諧謔性を持った"79th And Sunset"(steelがちらり)、マディー・ウォーターズのブルーズ"Rollin' Stone"(後半のverseはスペンサー・デイヴィス・グループもやっていた"My Babe"から)、強力な"Stone Cold Fever"(harpが素晴らしい)、"Soul Grain"とA面はほぼ完璧な内容。B面はスワンピーな"A Song For Jenny"でスタート。BJコールのsteel、ドリス・トロイ、クラウディア・レネアー、PPアーノルドのゴスペル・クワイアも見事です。邦題が"ジェニイに捧げし歌"とえらく古風です。フランプトン作の"The Light"は、フランプトンの持つ甘さをたたえつつ、変化し続けるバンドらしくマリオットがイニシアティヴをとった後期のグルーヴも感じさせる。唯一グレッグ・リドリーが歌う"Big George"はボビー・キーズのsaxをフィーチャーした骨太のブギーです。prodはグリン・ジョンズでOlympic Studio録音。
手持ちのCDはPOCM-1886-J。A&Mはキング、アルファ、ポニー・キャニオン、ポリドールそしてユニバーサルと移ってきましたが、これはポリドール時代。