#27他のシスコ勢8モビー・グレイプ

Moby Grape
シスコ出身ながら音的にはLAの物に近い質感をもったモビー・グレイプも忘れてはならないバンドです。フランティックスというバンドでシングル"Human Monkey"('66,Action)を出していたドン・スティーヴンソン(vo,ds)、ジェリー・ミラー(g,vo)、ボブ・モズレー(b)が初期JAのメンバーだったスキップ・スペンス(g,vo)、ピーター・ルイス(g,vo)と結成したのがモビー・グレイプで、67年にColumbiaから同名のデビューLPを出しています。

Moby Grape: High Sign

Moby Grape: High Sign

とても67年のリリースとは信じられないくらい洗練度があります。CS&Nの登場を予感させる"8:05"、ガレージバンドの心意気を感じさせる"Hey Grandma"や"Fall On You"、小気味いい"Changes"など全く古さは感じさせません。但しColumbia側が、売り方を誤り、デビュー作から5枚のシングルを同時に切るなどの新手な作戦が見事に裏目に出た事、メンバーのルックスが他のシスコバンドと比べると、ぐっと洗練されていたこともあり逆に反感を買ってしまったことなど、セールス的には失敗でデビューからいきなり多大の負荷がかかってしまった事が不幸でした。

サイケデリックというよりはがポップでメロディアスな曲を書くガレージ・バンドといった印象で、68年のセカンド「Wow」でもそれは発揮されています。
Wow & Grape Jam

Wow & Grape Jam

僕は夢幻的なイラストのジャケットが有名なこのセカンドを覚王山にあったHalfway Houseで買いましたが、はっぴいえんどのメンバーが参考にした音という情報は当時なく、後になって納得した覚えがあります。"He"、"Motorcycle Irene"など結構色濃いです。あと78rpmの曲があったのには参ったなあ。
重要なのは最初の2枚で「'69」('69)、「Truly Fine Citizen」('70)は後年あまり評判にもならなかった覚えです。
Truly Fine Citizen

Truly Fine Citizen

バンドは、71年に解散しますが、後にライヴ・グレイプスとして再結成。これには後に後期ドゥービーのコーネリアス・バンパス(kb,sax)も参加。スキップ・スペンスが見出したドゥービー・ブラザーズとの因縁も面白いです。そのスペンスにはサイケファンには広く知られた「Oar」('68)というソロがあります。
Oar

Oar