Canned Heat(キャンド・ヒート)

キャンド・ヒートと"Going Up The Country"の事を知ったのは映画「ウッドストック」だった気がする。ヒゲ面で見かけはむさくるしい5人組のブルーズ・ロック・バンド。その「ウッドストック」では映画ではスタジオ・ヴァージョンが使われて、軽やかなrecorderの調べと、妙に甲高いボブ・ベア・ハイトのvoがブルーズ・ロック?と言う感じだった。映画のサントラでは、実際のライヴ・ヴァージョンが使われたが、演奏のヴォリュームが小さく,vo中心のミックスが逆にこのバンドの器を小さく映してしまって残念だった。

Living the Blues

Living the Blues

その"Going Up The Country"は、69年の3枚目「Living The Blues」(UA)に収録されたもの。前述の通りrecorderが全然ブルージーではない。この2枚組はクリームの「素晴らしき世界」にインスパイアされたような1枚スタジオ、1枚ライヴの変則ものだが、ライヴは濃すぎて、最後まで聞けない(^^; アル・ウィルソン(g,vo)、ヘンリー・ヴェスティン(g)、ラリー・テイラー(b)、フィット・デラ・パッラ(ds)にハイト(vo)を加えた5人で、ブルーズ・ロック全盛の70年ごろまでがピークだが、ブームが去った後も本国以上にヨーロッパで絶大な人気を誇った。
もともとブルーズをベースに新しいことをやろうとかそういうのではなく、黒人のブルーズを忠実に演奏するというブルーズ原理主義のこのバンドが、激動の時代を乗り越えられるわけがなく、ブルーズ・ブームが終わると潮が引くように人気は後退するが、ウィルソンのディープなコレクターぶりは一定の評価があり、固定ファンは常についている。