slow#2

In the Pocket

In the Pocket

■Slow Burning Love / James Taylor
フォーキーなスタイルで始まったJTのワーナー時代ですが、次第に都会的なサウンドに変わっていきます。その集大成となったのがワーナーでのラスト作「In The Pocket」('76)で、個人的に一番好きなJTのアルバムの1枚なのです。当時の夫人カーリー・サイモンアート・ガーファンクル、クロスビー&ナッシュ、ヴァレリー・カーターらがコーラスを付け、ゴージャスでハートフルなハーモニーに満ちたアルバムです。ダニー・コーチマー(g)、リー・スクラー(b)、ラス・カンケル(ds)、クラレンス・マクドナルド(kb)といった当時のツアー・バンドを中心としたバッキングもシンプルでいてゴージャスです。ウィリー・ウィークス(b)が参加した"Slow Burning Love"は、飛ばすA面の中で、テンポを落としてほっとさせるキーの曲です。隠し味的に使われているmandolinはクーチ。終わってしまった恋が語られる苦い歌です。
フォーキーな部分だけでなく白人のR&B的な要素もこの頃からちらほら見出せます。ボビー・ウーマックのナンバーを取り上げた"Woman's Gotta Have It"(gはワディ・ワクテルです)やスティーヴィー・ワンダーとの共作になる"Don't Be Sad 'Cause Your Sun Is Down"(お約束のスティーヴィーのharmonicaをフィーチャー)、なんかはこのタイプか。