ride#2

Ride the Wind

Ride the Wind

■Ride The Wind / The Youngbloods
乱暴な本ですとヤングブラッズはウエスト・コーストのバンドとなってますが、結成はNYです。ジェシ・コリン・ヤング(vo,b)、ジェリー・コービット(g,p,vo)、ローウェル・バナナ・リヴェンジャー(kb,g)、ジョー・バウアー(ds)の4人組です。ジェシは元々フォークシンガーとしてヴィレッジ周辺で歌ってた人ですが、フォークスタイルに限界を感じてバンドを結成したと言われています。NYのバンドらしく、ジャズ、ジャグバンド、ブルーズ、ラグタイムなどの要素もあり、ラヴィン・スプーンフルに似た部分もあります。RCAからデビュー盤が出たのは67年ですが、初期の代表作とされるのが「Elephant Mountain」('69)でしょう。
QMSにもかかわったディノ・ヴァレンテが本名のチェスター・パワーズ名義で書いたヒッピー賛歌"Get Together"は、サマー・オブ・ラヴと言われた67年の夏を代表するナンバーで、数多くのカヴァーが生まれましたが、ヤングブラッズのこのヴァージョンが最大のヒットとなりました(67年リリース時にはパッとしませんでしたが、69年に#5のリヴァイヴァルヒット)。
さてウエストコーストに移ってきた頃にはコービットは抜けて3人組になっており、バナナはel-pを弾く事が多く、ジャジーなクールな演奏を聞かせる一風変わったバンドになっていました。レーベルもRCAからWarner Brosに移り、そこに自身のレーベルRaccoonを作りました。
71年の「Ride The Wind」はライヴ盤で、前述のクールな演奏がグレイトフル・デッドに通じる部分なります。「Elephant〜」に収められたスタジオ・ヴァージョンよりもこっちのライヴの方が、この"Ride The Wind"の魅力をあますことなく伝えてる感じ。フレッド・ニールの"Dolphins"のカヴァーも入ってます。

僕はこのLPを下北沢にあったハリーズという店で買ったのですが、品ぞろえは少なく、動きは全然なかった店ですけど、何故か安かった。90年ごろかな。BB5の「Surf's Up」がボロボロでしたけど、フツーの値段で買えたのはあの頃あそこだけかも。詩人の長田弘さんの「アメリカの心の歌」(岩波新書)の中でいい店と紹介してるのにはびっくり。