shadow#1

Born to Be With You / Streetheart

Born to Be With You / Streetheart

■In And Out Of The Shadows / Dion
70'sに入ってWarner Brosに移籍、sswとして地味だけど質の高い作品を出していたディオンが75年フィル・スペクターのprodでWarner/Spectorからリリースしたのが「Born To Be With You」です。災難続き(本当の災難はさらに20年後来るのですが)で落ち目のスペクターは、74年にはジョン・レノンの「Rock And Roll」でのマスター・テープ持ち逃げ事件もあって、精神的に結構ヤバい状況にあったようです。結果的にそれぞれの過去のキャリアをなぞるような(つまりオールディーズ的なレベルにとどまったという意味ですが)内容にとどまり新たな何かが生まれる事はなかったのですが、少なくともポップス・ファンの僕としてはこの「ロックンロール・サヴァイヴァー」の夢の共演は歓迎です。タイトル曲の"Born To Be With You"はデイヴ・エドモンズもとりあげたエヴァリー兄弟の曲で、なかなかまだるっこしいテンポ。g10人、b2人、ds2人にコーラス、オーケストラという大人数の厚みが効果的な"The Whole World In His Hands"で、ジョージ・ハリスンの「All Things Must Pass」セッションを思い出します。もう1曲ジョージっぽいスライド(ジェシエド・デイヴィス?)の入った"In And Out Of The Shadows"もよいです。ゆったりとしたテンポの曲が多いので74年当時でも結構懐かしさあふれる感じではなかったのか?

結局次の「Streetheart」('76)から再びWarnerに戻るのですが、Warner/Spectorは、この時期ニルソンとシェールのシングルを出すぐらいにとどまっています。

この曲"A Love Like Yours"はマーサ&ヴァンデラスもやってました。
01年に英Aceから出たCDには次の「Streetheart」も入ってますが、マイケル・オマーティアンとスティーヴ・バリというダンヒル関係者のprodによるもので、プレAOR的(79年に以前にAORは存在するのか?というビミョーな問題はさておき)な歌謡ロックです。ディーン・パークス(g)、リー・スクラー(b)、デイヴィッド・ケンパー(ds)らが参加。テンプスのカヴァー("The Way You Do The Things You Do")もいいですが、メロウな"More To You"は、現代でも十分通用するキラー・チューン。