ハートブレイカー

ハートブレイカー+6

ハートブレイカー+6

■Heartbreaker:Free
いったん解散したはずのフリーだが、契約の関係で日本でライヴをこなさなければならないことになり、ポール・ロジャース(vo,g)、サイモン・カーク(ds)にジョン・ラビット・バンドリック(kb,vo)、山内テツ(b)を加えたラインナップで72年7月の来日公演をこなします。このメンツに手ごたえを感じたメンバーは、病状が安定したポール・コソフ(g)をゲスト扱いにしてアルバムを完成させる。それが結果としてラストLPになった「Heartbreaker」('73,Island)です。
日本でもヒットした"Wishing Well"は、後にマギー・ベルやゲイリー・ムーアがとりあげた英ロックの誇る名曲。昔からスナッフィー・ウォルデン(g)とリーバップ(perc)参加のクレジットがあった、それは米盤シングルで、今回ボーナストラックとして収められたUS Mixではラビットの弾くpiano、リーバップのcongaが大きくフィーチャー。となるとコソフ未参加のため泣きのgはスナッフィーか。フリーの持つブルージーなフィーリングは今回もいたるところに顔を出し、"Come Together In The Morning"や"Heartbreaker"で顕著。アコースティックなフォーク・ロックも実はフリーの得意とするところで、"Travellin' In Style"は、枯れたpianoとコソフのむせび泣くようなgの対比が面白い。今回ラビットが持ち込んだ曲は米南部志向のいわゆるUKスワンプ風のものだけど、どれも悲しげなメロディーと白人ブルーズらしさが感じられ、うす味ではあるが悪くない。"Muddy Water"と"Common Motal Man"がそう。ロジャースがピアノを弾く"Easy On My Soul"は、てっきりラビットの曲だと思ってましたが、ロジャース作で、今までのフリーになかったマイナー調の中にほのかな明るさが見いだせるナンバー。後にバッド・カンパニー時代、シングルのB面として再録音している。控え目なgはストレイ・ドッグのメンバーとしてManticoreからデビューするスナッフィ・ウォルデン。
手持ちのリマスターCDには"Wishing Well"のB面(フリーの場合シングルのB面の多くはLP未収録だった)"Let Me Show You How"ほかを収録。