#6■オセロ・ゲーム:恩田陸

光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)

光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)

ゼナ・ヘンダーソンの「ピープル」シリーズ(地球上には、かつて宇宙航行中に事故にあい地球に不時着した特殊な能力をもった異星人(とその子孫)たちがいくつか存在しており、彼らはその素性が地球人にばれないように生活している)を下敷きにした恩田陸の「常野物語」は、それぞれが独立した短編でありながらまとめて読むとなかなか味わい深い。ハートウォーム系の作品が多い中、敵対する見知らぬ存在との終わりの戦いが描かれた”オセロ・ゲーム”は、出色の出来。ひっくり返されないようにする戦いが鮮やかに描かれる。このアイディアを長編化した「エンド・ゲーム」もあるが出来は断然こっちのほうがいい。